手首と腕時計のサイズに関するThe Armoury マーク・チョー(石賢正)氏による調査が秀逸
40歳になって「身の丈に合った腕時計選び」をこれまで以上に意識しています。
身の丈に合う、というのは何も収入に見合った腕時計を買うという意味ではありません。それよりも、自分の体格、とりわけ手首のサイズを把握し、適切なサイズの腕時計を選ぶということに他なりません。
僕の手首回りのサイズは15.5㎝と、かなり細いと自覚しています。革ベルトの時計を買えば、ベルト穴は一番奥まで止めてもまだ緩いということも多く、ベルト穴を追加するか、革ベルトだけをジャン・ルソーなどでオーダーすることで対応してきました。
こういう事情ですから、世の男性の手首のサイズは明らかに僕より太いのだろうなと随分前から気付いていました。
時計そのものを知ること以上に、自分を客観的に知るということが重要です。しかし、それには統計の裏付けが不可欠なのは言うまでもありません。
この課題に切り込んだのが、The ArmouryとDrake’sのオーナーのMark Cho(マーク・チョ/石賢正)氏です。彼は2018年8月から2019年5月にかけてSurvey Monkeyからおよそ1,000人の回答を得て自分の手首周りを把握する人がどれくらいの大きさの時計を選好するのかという統計を浮き彫りにしました(調査はなお継続中)。
回答した人の国籍はアメリカ合衆国が39.1%とほぼトップ。2番目に香港、英国と続きますので米国の多様性を考慮すると特定のエスニシティに偏った結果ではないとチョ氏は分析します。少し悲しいのが、市場規模としては4番目に大きいはずの日本国籍者の回答がランク外であるという事実です。これは調査が英語で実施されていることに起因するからでしょうが、改めて日本人の英語力の低さを痛感せざるを得ません。
チョ氏は回答年齢層が25歳〜34歳が44.5%と突出していることを考慮すると、25歳〜29歳、30歳〜34歳とセグメントを5歳ごとに刻むべきだったとしています。なぜなら、その2つの年齢層は購買力に歴然とした差があるためです。なお、回答はInstagramからの流入が突出していたそうです。
では、男性の手首のサイズの実測値を見てみると、平均値は17.2㎝(6.74″)という結果になりました。自分の手首を細いと自覚するセグメント(層)の平均値は16.2㎝、平均的だと自覚する層は17.7㎝、太いと自覚する層は19.7㎝と概ねセルフイメージと実測値は近いようです。
調査では1番目と2番目に好みな時計サイズについて回答結果が得られました。1番目に好まれるサイズの平均値は37.7㎜でした。とりわけ36㎜と38㎜がほぼタイで全体の50%を占めるなど明らかにアンダー40㎜を選好する愛好家が多いことがわかります。
一方で、2番目に好まれるサイズの平均値は39.28㎝、40㎜の支持率が35%と突出していることがわかります。この40㎜は1番目に好まれるサイズの支持率においては14%と比較的高い水準であることを考慮すると、供給側(メーカー)が40㎜に偏った販売を展開してきたことと符合します。
上図で面白いのは手首周りが15.2㎝〜17.7㎝(6〜7インチ)の層では36㎜派と38㎜派にほぼ2分に収束されているのに対し、17.8㎝以上の層はサイズ選好が分散されています。手首の太い人ほど時計のサイズが時計選びそのものに影響を与える度合いが低いということの証左ですね。
間違えてはいけないのは、この調査は手首が細い/太い人が選ぶべきサイズは36/40㎜でないといけないと教条的に捉えることです。それは流行で時代とともに浮動していくのですから決して黄金比などは得られないもんなんです。
しかし、時計を選ぶということは常にセルフイメージと対になるべきというのが僕の近年の考え方。体格とか手首のサイズというのは比較的セルフイメージを客観化しやすい指標でもあるのです。
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