K.Iwahashiが語るラグジュアリー論







ラグスポもフォーマルもこなすサントス ドゥ カルティエ MMをコレクションに追加しました!

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'79年生まれ。1浪2留の流浪期を経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融業界で会社員として勤務。英文翻訳が得意。 ラグジュアリー全般に関する考察と海外発の腕時計情報をいち早くお届けします。

かなり前から気になっていたCartier(カルティエ)のSantos De Cartier(サントス ドゥ カルティエ)。

ムーブメントが42時間自動巻駆動の緩急針方式のCal.1847MCだということで敬遠していましたが、自動巻でありながら8.83㎜の薄いケース、1,200ガウスの耐磁性能、100m防水のパッケージングにブレスレットは新機構QuickSwitchによるステンレスブレスと革ベルトを簡単に交換できるスタイルに惚れ込み、何度となくカルティエ ブティックで試着を重ねてきました。

ちょうど、アンダー50万円で程度の良さそうな中古を見つけて、一度手が滑って購入ボタンを押した後、冷静になるためにキャンセルを申し出て翌日改めて意を決して購入したら、在庫切れ…


こうなると、正規店で追加料金14,000円を払ってクロコダイル革のベルトの組み合わせを購入するというアイディアが頭を占拠し始めました。

そして、カルティエ名古屋店に照会をかけたところ、クロコダイルストラップのブラックの在庫もあるということで、試着に赴きます。セールススタッフさんは2年前にトラベルウォッチ(これもサントス!)の修理を担当していただいたH女史でした。


短い逡巡ののち、ついに購入。ゴールドのコンビはピンクゴールドであれば検討しましたが、イエローゴールドの仕様しかリリースされていないため、オールステンレスのモデルを選択しました。

「サントス」はブラジル人飛行家/発明家、そして平和主義者でもあったアルベルト・サントス=デュモン(1873-1932)のために1904年に開発された世界初の紳士用腕時計を起源とします。

現在のラグジュアリースポーツタイプのステンレスブレスレットが追加されたのが1978年。オーデマ・ピゲからロイヤルオーク、パテック・フィリップからノーチラスがリリースされた数年後のことです。

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本体の薄さ以上にブレスレットの薄さが際立つ

実際にスーツにステンレスのブレスを着けて最初に驚いたことは、ブレスレットそのものが薄いため、比較的タイトなシャツのカフの下にも滑り込ませることができます。

ケースサイズは35.1㎜(横幅)です。僕は自分の腕回り(15.5㎝)の細さを考慮して、36㎜を超える腕時計は買わないようにしています。ですから、横幅が35㎜のMMサイズは体格に見合った時計と言えるでしょう。このスクウェアケースをラウンドケースに換算すると、直径39.6㎜。面積だけを見れば比較的大ぶりなサイズに聞こえますが、装着感はコンパクトなのです。ケースの薄さが8.83㎜であることもこのコンパクト感に貢献していることでしょう。

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カルティエの紋章には好き嫌いが別れるところ

サントス ドゥ カルティエのこのコンパクト感が想起されるのは、50系の初期パテック・フィリップ アクアノート。35.6㎜の直径に8.25㎜のベゼルとミドルケースを一体化させた薄い2ピースケース。

現行のアクアノート(Ref.5167)が40㎜に大型化されてしまって久しいことを考慮すると、現行機でこのサイズ感の時計に出逢えるというのは奇跡に近いのです。

幅35.1㎜のスクウェア型の面積をラウンドケースに換算すると、およそ直径39.6㎜の時計に相当します(※円積問題はここでは考慮しない)。意外と手首に占める面積が大きいのです。装着感は36㎜程度の時計と同じながら、存在感は40㎜程度を確保している、と言ってもいい。

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クラスプの解除も小気味が良い

アクアノートがプアマンズ(貧する者のための)ノーチラスとするならば、サントス ドゥ カルティエはプアマンズ アクアノートとも言うべきか…

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本体側のブレス接続部

カルティエに限りませんが、最近の高級時計のケースは鍛造と切削を巧みに切り替えていて、実に精緻。僕がカリブル ・ドゥ・カルティエで初めて同社の時計を手にして約10年。ケース加工技術はさらに向上している印象です。

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ブレスの接合機構。スプリング部品の耐久性が気になるが分解可能のようだ。

全く隙間のない精緻さゆえかブレスレットの交換機構は少し修練が必要にも思えます。ブレスレット側に取り付けられたレバーを押し込みながら、全体を引くというのは、なかなか力の加減が難しいものです。

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Apple Watchのステンレスブレスに酷似したコマ調整機構。工具が全く必要ない。

加工技術の高さを窺えるのが、コマとコマを繋ぐピンを抜くためのプッシュボタン。よく目を凝らさないと継ぎ目がほとんど判別できません。ここまで隙間がないとホコリや砂が噛んでしまう心配もありません。

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僕のクラシックスタイルのアイテム、ジャガールクルト レベルソとともに

さぁ、アリゲーターストラップに交換してみましょう。このアリゲーター革はとてもしなやかに造られていて、カルティエのバックルに巻き込む独特の調整方法にもすぐに順応してくれます。通常の使用では、ベージュのカーフベルトが付属するのですが、アリゲーターストラップにアップグレードすることも正規店ならではのサービスです。

なお、初回の点検は1年半後に無料で実施してくれるそうです。

日中はステンレスブレスで過ごして、イブニングにアリゲーターストラップに換装。それも、ちょっとした場所があればストレスなく行えます。これは本当に「スタイル」を極めたい人向けの時計です。

ところで、ジャガールクルト レベルソと並べて写真を紹介していますが、1986年の映画『ウォール街(Wallstreet)』の劇中でマイケル・ダグラスが演じるカリスマ的悪役ゴードン・ゲッコー(Gordon Gekko)が着けていたのが、まさにこの2本なのです。もちろん、ステンレススチールではなく、ソリッドなイエローゴールドではありますが。

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レベルソ薄さと比較しても、引けを取らない。

そして、何よりも驚いたのが精度。購入してからの日差は+0.3秒ほどと極めて正確に時を刻んでくれていること。このムーブメントは軟鉄によってシーリングされている上、脱進機にシリコンがしようされていることから1200ガウスもの磁力にも耐えられるとされています。

僕の手元で一番腕時計に近いiPhoneのスピーカーに取り付けられたネオジム磁石ですら密着時125ガウス(直流10,000A/m)ですから、よほど強力な磁石(鞄のマグネットホック等)に密着させなければこの精度が狂ってしまうことはないでしょう。

100m防水ですが、リューズはねじ込み式ではありません。リューズガードもあってお世辞にも操作しやすいとは言えないそのブルースピネルがセットされたリューズを回すと、極めてセイコー5の7S26に近い、ジーコジーコという巻き上げるというより磨り潰すような感覚が伝わってきます。うん、これはまさにセイコー5!!

実際、Cal.1847MCにはセイコーが開発したマジックレバー式の巻き上げ機構を採用していて、女性の腕の運動量で巻き上げが確保できるほど効率性に優れているようです。したがってリューズによる巻き上げは必要のない操作と割り切っているように思えます。

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ニコラス・G・ハイエックがやるとサマになるが、私だと品のない着け方に…

40歳になり、これから10年間はスポーティなロレックス エクスプローラーⅠ(Ref.114270)とレベルソ クラシック スモセコを使い分けようと思ってましたが、サントス ドゥ カルティエはたった1本でその役を楽々とこなしてしまいます。

それに時計愛好家としてはあるまじき態度かもしれませんが、女性ウケがよろしいというのは事実として嬉しいワケでして。

英語に「汎用性が高い」という意味でversatileという単語があります。サントス ドゥ カルティエはまさにversatilityを極めた時計といったところでしょう。オキニ隠ししたいほど素晴らしい時計です。

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