K.Iwahashiが語るラグジュアリー論







腕時計の革ベルトと靴の色は合わせるべきかの最終結論

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'79年生まれ。1浪2留の流浪期を経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融業界で会社員として勤務。英文翻訳が得意。 ラグジュアリー全般に関する考察と海外発の腕時計情報をいち早くお届けします。

Mike! You do not come to Las Vegas and talk to a man like Moe Greene like that!

僕が大好きな1972年の映画『ゴッドファーザーPart 1』の中で主人公マイケルの兄フレドが、格上を相手に命令を下す弟に対して放つ一言。一節の中にlikeが2回出てきて、その余韻というか言い回しが好きなのですが、僕は肝の据わったマイケルよりもフレドの心境にとても共感するのです。つまり、「長いものに巻かれろ」精神ですね。勤め人を十年超続けていると、これは信念にも似た確信に変わります。

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そんな脅迫観念のような服飾における不文律が「靴とベルトと鞄と小物類は全て同じ色に揃えるべき」というもの。

僕が初めて手に入れたクラシックな時計であるジャガールクルトのマスターウルトラスリム、その後手に入れたロレックス チェリーニ 4233/9はいずれも購入時にブラウンのアリゲーターストラップが付いていました。20代の僕の靴は雨用の1足(J.M.WESTON)を除いて全てブラウンだったのでほとんど不都合は生じませんでした。それに、ブラウンのレザーは経年変化が楽しめるので好きなのです。

ところが、初めて恥ずかしい思いをしたのが妹の結婚式でエスコートを務めた28歳の頃です。僕はジョンストン&マーフィの黒のオックスフォードを履きつつも、時計はロレックス チェリーニにブラウンストラップを巻いていたからです。フォーマルな場ではブラックで統一すべしというドレスコードは直前に知りました。

まだ二十代ということもあって先立つものがなかったのも事実(妹の結婚式の2週間前に自分の結婚式を挙げていて、スッカラカン)。

この件以降、仕事の時でも靴もベルトも時計ストラップもブラックで統一するようになりました。そうなると、カバンも財布も全てブラックを揃えるようになります。何かブラウンの小物を持ちたいと思っても、靴から鞄までブラウンに総入れ替えするのは窮屈で仕方がありません。

鞄の中のものを入れ替える、財布のカードやお札を抜いて入れ替えることを想像するだけでクラクラしてきます。

ファッションデザイナーのTom Fordは、時計とベルトと靴の色は統一すべきとしています。ただし、時計のストラップに関しては赤など全く異なる色を使う場合はOKとしています。例えば彼の場合は、夏は白いストラップをイブニングの装いにも取り入れるそうです。

逆に彼をdrive crazy(ムカつか)させるのは茶色のストラップに黒い靴とベルトを合わせることだそうです。

ほらね、やっぱりブラウンのストラップにブラックの靴とベルトは合わせるべきじゃない。

しかし上述のトム・フォード氏のインタビューを掲載したGQイギリス版の別の記事ではベルトと靴の色は統一すべきだが、時計のストラップの色は気にする必要はない。なぜなら「far enough(手と足は離れている)」から。

ベルトと靴が同じ色であるべきというのは感覚的に理解できます。足と腰というのは同一線上のラインにあるので、チグハグな印象を持たれてしまうのです。「足腰が弱る」という表現にもあるように体のパーツとしては連動性が高い部分なのです。

だから、腕に巻かれる時計のストラップというのは統一されていなくても、いわば中に浮いた存在なのだからきにする必要はないというのは合点がいきます。

ただ、靴と時計の位置が離れているにしてもベルトと時計のストラップは比較的近く、機能的にもよく似通っていますよね。

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位置が比較的近いベルトにあっても、時計のベルトの色は変えてもよい。ただし、バックルと時計のケースの色は統一していること

思うに、時計とベルトで統一しておくと良いのはベルトのバックルと時計のケースの色(シルバー、ゴールド)を統一しておくと良いかもしれません。レザー部分は異なる色を使ってもやはり違和感は持たないですね。

ビジネスインサイダー誌の記事によると、ベルトと靴の色を統一しないことをタブーとした上で、ブリーフケースやグローブ、そして、そう、時計の革ベルトは統一する必要はないとしています。それらまで用意周到に揃えるのは「神経質さ」を感じさせるからだということです。

よく磨かれた黒い靴に黒いベルト、赤茶のアタッシェに経年変化を感じさせるゴールドのペッカリー(野豚の革)のグローブを携えて面接に行くと採用されるかも?

僕が革小物をオーダー中のオルタス 小松直幸氏の洞察もかなり参考になります。

英国文化圏の方は判を押したようにロンドンタン色のブライドルレザー(笑)。様々なバッグを同じ種類・同じ色の革で揃えるのにオーダーの醍醐味を感じるみたいです。一方、色で個性を表現するのに長けているのはイタリアとフランスの方。どちらも靴の色にあまり合わせようとしないのが、日本のお客様との大きな違いです。

太字は筆者による

今回の論考はいかがでしたでしょうか?僕は大好きな時計は自分の好きなブラウンで日常を通し、カッチリとしたフォーマルな場ではブラックの時計ストラップに換えることにしたいと思います。

ちなみに、客室乗務員として多くのビジネスパーソンの装いを見ている妻の意見としては「そんなことを気にすること自体がダサいし非モテっぽい」と一笑に付されました。ハハハ。

スタイリングとは実に難しいものですね。

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