なぜ質の高い時計が安く買えるようになったのか?
GQ.comの記事から『なぜ質の高い時計が安く買えるようになったのか?』を紹介します。
2013年以降、消費者が卸業者や店頭を介さずに直接商品をインターネットで買うことのできっるビジネスモデルが急速に普及しています。そのきっかけとなったスタートアップ企業がメガネを取り扱うWarby Parkerです。
Warby Parkerはペンシルバニア大学ウォートン校に在籍していた4人の学生によって設立された会社で、メガネ業界の旧弊を打ち破り、自分たちでメガネをデザイン、製造しインターネットで直接販売するというビジネスモデルを確立しました。
スタートアップ時に4,150万ドル、翌年には6,000万ドルを調達したことから市場にも歓迎されたことが窺えます。
こうなると、様々な業種のスタートアップ企業が”第二のWarby Parker(Warby Parker of X)”を狙うことになりました。
その中で時計業界のWarby Parkerと言える企業がMVMTです。大学をドロップアウトしたジェイク・カサン(Jake Kassan)とクラマー・ラプラント(Kramer LaPlante)によって設立された同社はクラウドファンディング「Indiegogo」によって創業資金を調達しました。彼らは2万円以下のクォーツウォッチをまるで「スニーカーを売るが如く」ネット販売しており、それが若い世代を中心に受け入れられているのです。
ROLEXに代表される化石のような時計メーカーに機械式時計で挑戦するのはダイバーズウォッチを製造するRavenです。この時計メーカーは850ドルの「Trekker」がフラッグシップモデルなのですが、「ロレックスを購入する消費税分で購入できる時計」というのが売りで、Miyota9015を機械式ムーブメントとして採用するこの時計の仕様は高級時計そのもの。Worn&Woundのような時計オタクサイトでも絶賛されているのです。
なぜ質の高い時計が安く買えるようになったのか?という問いにRaven創業者のSteve Laughlinは2008年のリーマンショックがきっかけだったと語ります。2008年以前は時計部品の小口発注にメーカーは応じなかったそうです。
また、Linjerのローマン・カーン(Roman Khan)は2008年のリーマンショックが消費者の購買行動に変革をもたらしたと分析します。収入が減った人々が自分が支払うものに価値があるかを精査するようになるのは自然の道理です。
興味深いのは、恐竜時代の代表格であるリシュモングループもDirect-to-Consumer(消費者に直接販売する)する戦略に舵を切り始めているということです。”二流のWarby Parker”が駆逐されるのも時間の問題かもしれません。
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