ある時計愛好家が選んだホームセキュリティ

時計愛好家としてはそれほど数はないが、時計コレクションが増えてきた。両腕に時計を着ける趣味はないので、時計は左腕に1本身に着けるのみだ。調子の良い時は、仕事中でもロレックス デイトナを常用している。おとなしくしていたいとき、相手からの信用を得たいときはクラシックな時計に着け替えられるよう、鞄にもう一本忍ばせている。

その他の時計は、滅多に着けることがない、収集要素の強いものは銀行の貸金庫に預けている。僕が契約している貸金庫は平日はもちろん、土日祝日も利用可能なので結構な頻度で貸金庫で出し入れしている。しかし、貸金庫ボックスは小さく限りがある。

その他の時計はというと、例えばスマートウォッチの類は自宅に置くしかない。これはジムに出かけるとき、睡眠管理をしたいときに着用するので自宅内にないと困る。充電も必要だ。

時計のような持ち運びが容易な財産は貸金庫に収納しているのだが、鞄のような革製品は当然のことながら自宅に置くしかない。そこに不安を感じて僕もホームセキュリティを導入することにした。これはソフト面の対策に該当する。

自宅は2019年に購入した戸建てだ、採光に非常に優れ、妻も僕も気に入っている。しかし、その利点は窓の多さ、つまり防犯性に乏しいことの裏返しでもある。幸いなことに、僕の住んでいる地域(3,000世帯ほど)は治安が非常に良くコミュニティの力も強いので、空き巣被害やその他の犯罪が起きたとは殆どないが、だからこそ警戒心も緩みがちだ。治安は常に変化するものであり、対策は必要だ。

それに、妻が職場に復帰したことで家が無人になる時間も増えたという生活環境の変化も大きい。

侵入を防止するための電動シャッターや防犯扉とか金庫の設置などハード面の対策は取らないことにした。コストと得られる効果が釣り合わないと判断したからだ。家の外観も物々しくなっては台無しだ。

関東に住む僕の実家や妹夫婦が契約しているセコム・ホームセキュリティに声をかけてみることにした。


セコムに関しては、2019年にこんな不祥事もあった。なんと、セコムの社員が誤作動したホーム・セキュリティの契約先住居で盗難を働いたのだ。それも、盗難されたのは高級時計だという。


セコム社員の窃盗の不祥事は初めてではなく、2013年にも同様の事例があったようだ。最終的な実力行使は人間によるものなので、こういう「腐ったリンゴ」は一定数生じるのだろう。

それでもセコムに声をかけたのは、不祥事直後だからこそ信頼回復に努めるであろうことと、誤作動による駆け付けはそんなに頻繁に起きないこと、設置による空き巣・盗難の抑止効果は依然大きいと判断したからだ。

アメリカの警察のように出動時にはボディカメラ装着すれば良いんじゃないと僕でも思い付くくらいなので、早晩何らかの対策はなされるだろう。

また、僕の周囲の家屋も10軒に1軒の割合でセコムと契約しており、田舎だからこそ出動拠点の多いセコムのスケールは魅力だ。同業のALSOKは、僕が住む地域では1次下請け会社がサービスを提供しているので比較検討の対象とした。

僕の場合は、親族がセコムと契約していることで、価格交渉が有利に進められるというのも大きな動機となった(家族割引が存在する)。

買取とレンタルでおよそ2,000円の差でレンタルの方が高くなるが、僕は断然レンタルをお勧めする(理由は後述する)。レンタルを前提にすればセコムとALSOKでは価格差がほぼなくなる。

参考までにレンタルで契約した場合のセコムとALSOKの比較表を掲載するが、機器買取にこだわるとしたら、ALSOKはレンタルの総額が買取を上回るのは5年経過時なので、機器の耐用年数・技術の陳腐化の度合いから言ってALSOKに軍配が上がる。セコムはレンタルと買取の分岐点に至るまでに13年も要する。

レンタルでは両者とも価格差がなくなるが、セコムでは盗難に対する補償があり、現金・貴金属で50万円、家財で200万円まで補償してくれる。高級腕時計は家財に含まれるので、これはかなり安心感につながる部分だ。

セコム(NEO) ALSOK
額使用料 6,800円 6,870円
工事費 58,000円 53,000円
保証金 20,000円
補償 250万円まで
レンタル>買取(年数)  13年  5年

ホームセキュティは警備のセットが面倒と思い込んでいたが、セットも解除もスマートフォンのアプリから遠隔操作できるので、外出先で気づいても対応しやすい。これも、2017年2月と比較的最近になってサービスが開始された。当初は契約先のインターネット回線を利用していたようだが、2020年現在ではホームセキュリティ本体内のモバイルセルラー回線(KDDIが提供)を通じて通信を行うので、自宅の回線状態に左右されない。本体は停電しても、2時間程度は内部の畜電池で稼働する。

secom app1
secom app2

ホームセキュリティは、ドア、窓に取り付けるセンサーと人感センサーが本体と無線通信する構成だ。各センサーは10年程度の寿命の電池が内蔵されているので、大凡10年程度がシステムの設計寿命なのかもしれない。

ただ、10年間で技術革新は進む。比較的実現性が高いのはエンドユーザー向けの5G(第5世代移動通信システム)対応ホームセキュリティだと思う。大容量で低レイテンシーな通信が可能となれば、センサーだけでなく映像・音声情報も収集可能だ。また、出動するのもロボット化するかもしれない。

そう考えると、機器の買取は得策ではない。レンタルであれば、一度解約して再契約すれば新しい技術を搭載した機器に更改することができるからだ。そう考えて僕はレンタルで契約した。

 

セコム・ホームセキュリティは最新機種のNEOと旧世代型のG-カスタムの2種類が用意され、NEOは工事費、月額料金が値引きなしの固定であるのに対し、G-カスタムは交渉次第となる。僕が契約した際の機種の違いといえば、コントロールパネルが壁埋め込み型(G-カスタム)か移動式(NEO)くらいの差しかなく、スマホで操作を完結させたいと考えている僕には大きな差には思えなかった。

営業担当の当初の提示額は月額7,100円(税抜)/工事費59,000円(税抜)であったが、最終的には月額6,300円(税抜)/工事費40,000円(税抜)で判を押した。これ以外に保証金20,000円を預入れ、撤去時の費用(9,800円)に充当後に返金される。

NEO G-カスタム
 

月額使用料

6,800円 6,300円
 

工事費

58,000円 40,000円
 

保証金

20,000円 20,000円

工事設置は1日で完了し、かかった時間も3時間程度だ。思ったより敷居は低い。各窓用にセコムのステッカーを頂いたが、これを貼るかどうかは未だ決めかねている。このステッカーがなくとも、玄関の警報灯でセコム導入はわかるので殊更にアピールしなくても良さそうなのだ。

secom
ドア周りのセンサー

外出セコムはセット後、3分以内に家を出て施錠する必要があり、帰宅後1分以内にパネルにキーを差し込むか、アプリ操作で解除する必要がある。外出時の空き巣狙いに有効なモードだ。警報が解除されなければセコムから操作ミスを確認する電話がかかり、ミスでなければ警備員が駆けつける仕組みだ。

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火災検知もデフォルトで搭載する

在宅セコムは窓やドアなどのセンサーが起動し外部からの侵入を検知するモードで、室内の人感センサーは機能しない。夜間の忍び込み対策に有効な警備モードだ。誤って在宅者が窓やドアの開閉でセンサーを反応させてしまっても、操作パネル上のタッチボタンのみで警報を解除することができる。

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人感センサー

また、部分セットというモードでは、「玄関」や「リビング」などエリアを指定して警備モードをセットできる。一度外出先から「外出セコム」モードに変更しようとしたが、リビングの窓が開いていてセットできなかったときにそれ以外のエリアをセットする際に有効だった。在宅時にはあまり使わないモードかもしれない。

2019年1月30日からソニーのペットロボ「aibo」と連動するというのも注目だ。連動機能の多くはギミック的なものだが、aiboのカメラを通して室内の様子を確認できる機能は便利だと思う。aiboとの連動はNEO、G-カスタムいずれも対応している。

子どもがその内留守番するようになったとき、ホーム・セキュリティがあれば幾ばくかは安心して任せられると考えている。もちろん、費用もそれなりにかかるが、僕は安心感に見合うプライスだと満足している。

何より、ちょっとした外出ならば時計を自宅に置いて出かけられる安心感は時計愛好家の僕にとってはかけがえのないものだ。


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