「白洲次郎の流儀」「白洲正子自伝」
今日(註:2006年4月6日)はひねもす雨であった。折しもAmazonに注文していた本が届いたので読書に明け暮れた一昨年だかテレビでたまたま白洲次郎が取り上げられているのを見て瞬間に魅了されてしまった。それから間もなくサライ(’04/5号)で特集が掲載されるなどここ数年静かな人気を呼んでいるようだ。
戦時東京から現在の町田市能ヶ谷に居を構え自らをcountry gentlemanと称した白洲次郎を、私は大学卒業と同時に東京を離れ名古屋を拠とし新生活をスタートさせる自分に重ね合わせた。そういえば昨年会社の建物を母に見せるため名古屋駅に向かうとJR名古屋高島屋にかつて次郎氏がCamridge時代、私と同じ年齢で乗っていたBENTLEY (No.プレートはXT7471)が展示されていたのだがあまりの大きさに度肝を抜かれた思いがある。氏のスケールの大きさを体感した邂逅であった。
さて、昭和史における白洲次郎氏の位置づけは『白洲次郎 占領を背負った男』(北康利著 講談社)に譲るとして、氏のダンディズムな側面を良質な写真、縁の人々の寄稿とともにまとめた本書は貴重。面白かったのは「英国ではロールスロイスに乗っていい奴とジャギュアー(Jaguar)までしか乗ってはいけない奴がいる」という言葉で、今度後者の妹にこの言葉を贈ろうと思う。嫌われるだろうか。
白洲次郎の実像により迫るためにあわせて読んだのが「白洲正子自伝」。初めてその著書を読んだのだが文章が巧い。洗練されたスノビズムというか。彼女の教養(いや、嗜好か)に裏打ちされた視点にも魅了された。もちろんより生活感に溢れた次郎氏にも触れる事ができ満足だったのだが、これから正子の嗜好の世界にも触れてみたいという気持ちが強くなった。
この感覚は20歳のころ当初坂本龍一を崇拝していた私が矢野顕子の音楽に触れるや一気に傾倒していく様子に近いものがある。
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