読書

白洲次郎のラグジュアリーアーカイブに新情報

出版社である小学館はスゴい。

何が凄いって、白洲次郎という男のアーカイヴを常にアップデートしてくれるからです。

僕が初めて白洲次郎を知ったのには雑誌サライ 2004年 05/06新緑特大号 [大型特集:紳士道を貫いた「昭和の快男児」白洲次郎][雑誌] (サライ)の特集です。それから14年、新たな情報を私たちに提供してくれました。

2018年夏号のMEN’S Preciousで特集された「伝説のプリンシプルとお洒落極意 白洲次郎」を早速入手しました。

斬新なのは白洲氏の娘夫婦のお知り合いの小倉暁氏をモデルに故人が愛したビスポーク服の数々を実際に着用して披露していること。これは相当な見ごたえがあります。やはり服は人に纏われてこそ、輝くものです。

長らく不明だった、18金のROLEXのセミバブルバックの型番もRef.6085であることが判明しました。このモデルは1950年代に製造され、大型化したケース(とは言っても33-34mm)に合わせて面積を広げたローターを持つキャリバー645を搭載しています。機械的には過渡期にあったムーブメントなので、名機というわけではないのですが、時計としての雰囲気は50年代の楽観的な雰囲気が出ていて、なんとも味わい深いと思います。

今回の特集で初めて、アーカイブに登場したジョン・ベネットのデミハンターケースの懐中時計にも興奮しました。これまで文字盤にクラックの入ったベンソンのモデル、恐らくは大沢商会会長時代に入手したと思われるジャガールクルトの薄型の懐中時計はよく知られていますが、ジョン・ベネットは初公開ではないでしょうか?

そして、今回の特集で最も興奮したのは、白洲氏のエルメス製クロコダイル革のアタッシュケースに銀座のバッグ工房・オルタスの鞄職人である小松直幸さんがコメントを寄せていることです。以下に引用します。

これほどきれいで大きなクロコ革を2枚調達するだけでも大変でしょう。芯には木材が使われており、角のアールの取り具合も上品。すべてにおいて隙がありません

小松直幸さんはおそらくは日本最高峰の藤井鞄店(Fugee)の藤井幸弘さんの元で8年間修業をされて独立された方です。

今回の特集の白洲次郎氏の功績に関するテキストは過去何度も繰り返されたものであり、目新しいものはなにもありませんが、小学館の取材構成力には脱帽しました。

余談ですが、小学館といえば、アフィリエイトに参入していて個人フリーランスの多いアフィリエイト業界に殴り込みをかけるなど、出版業界の今後を占う試みをしているようです。こういう姿勢が本業の取材や編集に活きるのは良いことだと思います。

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