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入山章栄・著『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』をビジネススクールに入れなかった私が読んでみた

2010年、東京勤務も一年が経とうとしたとき、私はある目標を立てました。それは、母校・早稲田大学のビジネススクールでMBAを取得するというやや蒙昧な目標でした。

日本橋にある校舎の説明会に赴き、森平爽一郎教授のブラック&ショールズ式について(正確にはオプション投資)の模擬授業を聞いたり、かなり期待に胸を膨らませ当時の上司に推薦状をお願いしたり、高校数学から大学数学の初級くらいまでを駆け足で勉強したりと奔走したのですが、高額な学費の工面の問題や東日本大震災の混乱や妻の出産で情熱が霧散してしまい、あっさり諦めてしまいました。

だから、この本が出たとき即買いました。まだ学習欲が少し残っているようです。

最新の経営学の知見は統計手法の発展により科学化されている!

本書では明確に書いてあるわけではないのですが、実は従来こう考えられていたことが、統計分析していくと実は違っていたという表現が多く出てきます。

これは恐らく扱えるデータの多様性や解析手法の発展が寄与しているのは間違いなさそうです。例えば「ビジネスモデル」を考える際、これまで重要だと考えられた4要素の1である「囲い込み」「補完性」は「企業価値」と統計的に有意な関係にないといったことが2000年代に入ってからわかったそうです。

世界はグローバル化されていない

世界はフラット化してから久しいと僕は考えていました。何となくそう思うようになったのは9.11テロが起こってからでしょうか。でも経営学の世界では世界はグローバル化もフラット化もしていないようです。

その証拠に「真に」グローバル企業と考えられる企業(アジア、北米、欧州で満遍なく成功する企業)が実に少ないという事実に拠るそうです。例えば、我が国の基幹産業のひとつである自動車メーカーでグローバル企業と呼べるのはマツダだけだそうです(2014年時点)。確かに、かなり前から北欧ではマツダが大人気だと聞いていましたが、イギリスではNSXとかかなりマニアックな車以外評判を聞いたことがありませんでした。実に興味深い内容でしょう?

起業活性化における副業の役割

日本では就業規則で副業禁止している企業が多いので、サラリーマンが企業するには会社を辞めてから起業する選択しかないように思えます。

しかし、副業を認めてある程度の準備期間を経て(これをハイブリッド起業と呼ぶ)から起業を決断する「リアル・オプション」を導入すれば、起業がもっと活性化するといいます。実際スウェーデンにおける研究ではハイブリッド起業から会社を辞めてフルタイムに移行する割合は6割と非常に高いことがわかっているそうです。

日本の場合、低い給与の埋め合わせに副業(むしろ内職)を利用するムードが蔓延しそうな気がしないでもありませんが、それでも副業を認めることで起業が活性化する土壌はできる気がしますね。

公務員はそもそも法律で禁止されているわけですが、民間企業では副業OKな企業もチラホラ散見されるようになりました。

経営学PhD

最終章は経営学のPhDとMBAの違いを解説しています(著者は前者の学位をお持ちです)。経営学PhDがコストという点では非常に優遇されている反面、学位取得までに生き残れる確率が非常に低いことが紹介されています(米国の上位校の話ですが)。

MBAはコストは非常に高いが、学位取得までに生き残れる確率は高いそうです。 感想 紹介した内容以外にも読み応えのある知見がたくさん紹介されています。学習欲が非常に刺激されますね。実は僕、この本を読むまで会社というか組織に向いていないのかなぁ〜なんて意気消沈していたのですが、この本を読んで会社で働くことが面白くなりました。

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