電子書籍文化の黎明期

iPhone 4を使い始めてから、本をスキャナでPDF化して、iBooksで読むというスタイルを取り入れるようになった。こうした読書スタイルを“自炊”と呼ぶことを最近知った。

とはいえ、この“自炊”行為には根気が強いられる。私はCanonのスキャナとAcrobat 9 Standardで読み込みと、その後の編集(余白のトリミングやOCR)を行なっているが、一冊あたり数時間を要するので相当な負担となる(一週間くらいかけてのんびり作業している)。したがって、繰り返し読む必要のあるもの、すなわち専門書とか教材系の本に限ってPDF化している。

また、本を見開いて読み取る方法を採っているため、左右のページで傾きが生じてしまったりとクオリティにもかなりバラツキがあるのが現状だ。

私の今のやり方で最大の欠点は一冊にかかる労力もさることながら、技術面ではiPhone4以外ではうまく表示されないことだ。試しにPDFファイルをKindle2に移してみたが、表示が薄過ぎて文字が判別できない。

これはKindleの推奨サイズが522px × 600pxであることに関係がありそうだが、Acrobat Standardのpx単位でサイズ変換する方法が見つけられないため、現状ではお手上げ状態だ。やはりiPhone4で長時間読むには画面サイズもバッテリも不足するため、画面が大きく、バッテリの長時間駆動が可能なKindleをメインにするのは私の課題でもあった。

そうした諸問題が解決できる電子書籍化代行サービスが存在することを数日前に知った。先鞭を付けた業者として、BOOKSCANが有名だ。私は早速アカウントを開設。

本を裁断して読み込むため、見開きと違ってバラツキが出る可能性も低く、自分でスキャンする労力も省略できる。素晴らしいのは、iPad,iPhone,Kindleなどplatform毎にPDFを最適化するサービスがあることだ。これはまさに私が求めていたことだ。

もちろん、デメリットもある。その筆頭がregal riskだ。通常、複製は使用者自身が行なわなければならないと法律で定められているので、代行業者に委託した時点でNG。BOOKSCANは委託者が著作権者の同意を得ている前提で、受託するという論理でサービスを行なっているので、いわば、そのリスクを顧客に転嫁しているようにも見受けられる。これは依頼する側としても大変不安だ。サービスの存続という観点からも非常に重要なリスク要素だと思われる。

第2に、コスト面。BOOKSCANは一冊100円と謳っているが、この金額で依頼すると、今日時点で2011年2月11日に着手となる。いくら何でも時間がかかり過ぎだろう。ところが、50冊まで当日〜1週間程度で納品されるプレミアム会員サービスも用意されている。このコストが月額¥9,980と高額。恐らく利用するとしても、最初の1ヶ月でまとめて委託した後は、無料会員に戻るという行動が予想される。したがって、本を購入して随時PDF化するということはあまり現実的ではない。料金の平準化ができないのだろうか?

最後に、本は裁断されてしまうため手元に残らない。これは心情的に抵抗感があるのではないだろうか。特に高額な専門書を手放してしまうのには少なからず抵抗感がある。それに、図書館等で借りてきた本をPDF化することは叶わない。

こうしたデメリットを天秤にかけて、現在利用を検討中。

いずれ電子書籍コンテンツが遍く普及すれば、このような問題に直面せずに済むわけなので、今まさに電子書籍の黎明期にいるのだと痛感している。

 

 

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。