K.Iwahashiが語るラグジュアリー論







大峽製鞄 ピッコローネ

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'79年生まれ。1浪2留の流浪期を経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融業界で会社員として勤務。英文翻訳が得意。 ラグジュアリー全般に関する考察と海外発の腕時計情報をいち早くお届けします。

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大峽製鞄のベビーカーフ製の束入、小銭入の使いやすさと質感に感激した私は、それらを収納するに相応しい鞄を手に入れることを決意した。それまではキャンバス×レザー製のSTEFANO MANOの軽い鞄を6年程使用していたが、巷にフェリージ製の似たような鞄が溢れてきたことや、ビジネスをメインに考え手提げ鞄を購入することにした。

素材は大峽製鞄がジャーマン・シュリンクと名付けたLUDWIG PERINGER (ペリンガー社、独)から供給されるクロム鞣のSHRUNKEN CALFだ。この革は薬剤で文字通り縮められた革で、高い耐久性と経年変化が僅かであることが強みだ。いわゆる使い込むことで味の出るタイプの革ではない(したがってクリーム等で油分を補給する必要はない)が、サラッと手触りと発色に優れる稀少な革だ。大峽製鞄がこのタンナーの名を敢て明かさないのは、近年この革を使った製品企画を展開する同業他社の存在と差別化を図るためであろうか。

鞄の形状については、散々迷った挙げ句、ピッコローネというモデルを選ぶことに。このモデルは三越本店でしか取り扱われていないので、まず鞄売場に電話を入れて黒と茶の2点の在庫を押さえてもらい、会社帰り半蔵門線で三越前駅へ向かった。

黒と茶色のピッコローネをオブジェのように眺め、吟味した後、黒を買って帰った。


翌日から使用しているが、この鞄は本当に素晴らしい。

まず、その収納力。ジッパーを全開すると、160度に割れ、モノが取り出しやすい。中仕切りは取外しが可能だ。財布を収納する大きなポケットがついているのは嬉しい。1泊程度の出張に大活躍する。


ところで、東京の電車通勤という制約上、手提げ鞄は非常に不便だ。したがって多くの人が手提げ鞄にストラップを取り付け肩から提げて凌ぐのだが、そのスタイルに無理を感じるし、中・高生を想起してしまうので、だからこそ当初はトートバッグに鞄の座を譲ろうと考えていた(周囲に実に見事にトートを使いこなす紳士がいる)。

しかし、手提げであっても、このピッコローネであれば制約は大きく緩和される。というのも、持ち手が広く作られているので、腕を通すことができるからだ。もともとこのモデルは女性用のオーバーナイトバッグとして企画されたものなので、女性の鞄の持ち方が多分に考慮されているのだろう。


こうして、私は電車に乗る際、持ち手に右腕を通してiPhoneを持ち、NBC Nightly Newsを視聴しながら、左手で吊革を握る。これらの挙動が無理無く成立する。ハンドルが直に縫い付けられている点にメンテナンスに不安を感じたが、即座に腕を通せる利便性の方にメリットを感じたい。


色は、金具類がゴールドなので、発色の良さと相まり、シルエットの美しさをよく引き立てている。


重さについては、やはり総革なので、詰め込むとかなり重く感じる。形崩れや腕の負担を考慮してMac Book Airや参考書類を常時持ち歩くのはやめた。

このピッコローネ、色違いで何個も欲しいと思うくらい素晴らしく、近年購入したうち最も満足できるものだ。


ところで、最近、日本の革製品が面白い。この大峽製鞄以外にも三陽山長がやはりイルチア(伊)から供給されるボックスカーフで昨年から新ラストのストレートチップ、“友二郎”を展開しており、私も2足手に入れたが、非常に質が良い。それでいて、こうした製品の価格が舶来品相場の半分程度に抑えられているのを見ると、これからこうした品が海外展開されることも、ともすればあり得るのかもしれない。

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