有田焼を文字盤に採用したセイコー プレザージュ SARW049 多針モデル【Basel2019】

乳白色の素晴らしいポーセリンダイヤルを採用したセイコー プレザージュが登場しました。

ポーセリンとは陶磁器のことで、かつては懐中時計の文字盤にも採用されていました。現代に残るポーセリンダイヤルの多くは、陶磁器であるがゆえのクラック(割れ)に見舞われる個体が多いのですが、退色しにくいというメリットもあり多くのヴィンテージアファンに愛されてきた素材です。

今回そのポーセリンダイヤルとして使われるのが有田焼と呼ばれる手法です。有田焼は1616年に肥前(佐賀県)の領主 鍋島直茂が朝鮮出兵の際に朝鮮から連れてきた陶工 李参平を陶祖とする伝統技法です。その技法を用いてダイヤルを製造するのは「しん窯」の陶工 橋口博之氏のチーム。

陶磁器は割れやすいというのは想像に難くないのですが、強度を確保するために1,300℃で焼き上げる鋳込みという工程を経て釉薬(ゆうやく)を塗布して再び焼き上げられることによって独特の青みがかった光沢が与えられ、耐久性をも備えるのです。

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ブルースチールの針 image by MONOCHROME WATCHES

文字盤のブルートーンと整合性を持つブルースチールの針が5本配されます。6時位置のスモールセコンド、9時位置のパワーリザーブのはそれぞれ段差が設けられていて、立体感を愉しむことができます。

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On Wrist image by MONOCHROME WATCHES

初の国産時計であるローレルをモチーフにしたこのモデルもケースは比較的大きい40.6mm。文字盤の間延びを感じさせないのはローマ数字のインデックスが長く書かれているからです。それに加えて多くの針を持つこの時計は凝縮感があり、大きさを意識することは稀でしょう。

厚みに関しては100m防水を堅持するためか14.1mmとかなり厚いですね。ここは12mmくらいまで頑張って欲しかったですね。

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Cal.6R27C image by MONOCHROME WATCHES

搭載するムーブメントはキャリバー6R27C。パワーリザーブが45時間なのは、同時に発売される3針モデルのSARX061の6R35が70時間の駆動時間を確保していることを考慮するとやや見劣りするのですが、自動巻機構による動力を蓄積する本機でその差が問題となることはまずないでしょう。

有田焼を文字盤に採用したプレザージュ 多針モデルSARW049は2019年9月7日に発売予定です。価格は216,000円(税込)と高騰しすぎた高級腕時計市場において実に素晴らしいプライシングです。

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