三陽山長のウィングキルトスリッポン『房二郎』はしなやかで履きやすい!
最近、仕事で顧客の元にお邪魔することが多くなりました。紐靴をタイトに履いている僕は、脱ぎ履きのビミョーな沈黙の時間にいつも冷や汗の出る思いをしています。
僕は靴紐をベルルッティ結びという工数の多い結び方を用いるので、歓談しながら結ぶという器用なこともできず、無言で靴紐を結ぶことに集中してしまいます。
確実に脱ぎ履きが発生する子どもの小学校受験が差し迫ってきたタイミングで、スリッポンの靴を購入することにしました。
スリッポンはよくローファーと呼ばれますが、その呼び名は「怠け者」を意味しますので、僕は努めてスリッポンで統一して呼ぶことにしています。その名の通りSlip-Onして履くため靴紐がなく、着脱が楽に行うことができます。
僕がスリッポンを購入したのは大学生の頃です。J.M.WESTONの紺のスリッポンを素足で履いていました(遠い目)。
ただ、典型的なコインローファーのようなスリッポンは学生靴みたいでスーツとの相性がイマイチなんですよねぇ。そうかと言って、ベルルッティのアンディのようなポインティなトゥのスリッポンは遊び人のようでいただけません。
ところが、山陽山長からモンクストラップのようなスリッポンが発売されているではありませんか! 「モンク」が聖職者を意味するだけあって、クラシカルな佇まいです。そしてラスト(木型)は僕が7年間「友二郎」というモデルで親しんでいるR2010です。合わないはずがありません。
最近の山陽山長の靴は極みシリーズを除いて、革質が硬くて光沢が鈍い革を使用しているのが、一抹の不安ではありましたが購入!
化粧の施されていない状態で届いたので、マットな質感ですが革がとても柔らかくて安心しました。往年の山長の良さが出ています。
甲革に添えられたキルトはグレインレザーで、ストラップの同じ革が使われています。
染色も黒に近いですが、手染めでムラのあるグレーを演出しているとのことで、最初のポリッシュ(靴磨き)はプロにお任せしました。
名古屋駅近くのシューズラウンジGotchさんです。
東京ではBrift Hに代表されるような、バーカウンター越しに靴を磨いてくれるスタイルです。料金はつま先のワックス磨きまで含めて2,700円。時間はおよそ20分ほどです。
初回の手入れ方法を2回目以降は自分で真似すれば良いので、方向性を知るには良い投資だと思います。房二郎にはコロニルのシュプレームクリーム1909のニュートラルが良いようです。
つま先のポリッシュはやはりプロです。細かく教えていただいたものの、簡単には真似できませんね。完成した状態はさすがの一言です。
実際に履いた様子ですが、 ホールド感が素晴らしく、履き慣らしの状態でも踵から抜けてしまうこともありません。やはり革が柔らかいからでしょうか?
この類稀なる履き心地の秘密はキルトに隠された甲革のゴムの伸縮にありそうです。
山陽山長の「房二郎」は久々の会心作だと思います。一見派手なキルトがあしらわれていますが、履いた姿は質実剛健さを感じさせます。キルトの派手さから敬遠される方も多いでしょうが、一度店頭で試着してみてください。きっと手に入れたくなる逸品ですから。
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