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2018年新作サントス・ドゥ・カルティエ MMは全てのシーンをカバーする腕時計の傑作

カルティエ サントスは世界初の量産腕時計として知られています。ブラジル出身の飛行家アルベルト・サントス・デュモンが飛行中の時間確認のためにオーダーした時計がそのペットネームの由来とされています。

先日、カルティエブティックで2018年新作のカルティエ サントスMM(ミディアムサイズ)を15分ほど試着してきました。9mmを切る厚みに35mmの幅というコンパクトなケースには、交換可能なブレスレットがスチールとレザーでそれぞれ付属する魅力的なパッケージング。実際に、試着すると非常にスーツに映え、時計そのもの以上に、装い(attire)を構成する一要素としての役割を担ってくれることがわかりました。cartier-santos-2018-with-quickswitch-on-wrist

僕はムーブメントの先進性や審美性にもコミットした時計愛好家なのですが、搭載するCal.1847MCはリン-ニッケル合金、シリコン脱進機の採用により一説には1,200ガウスの磁力に耐えうるということなので、スチールバックの奥を必要以上に詮索するのはやめにしたいと思います。

なお、このムーブメントはオイル切れや不具合を起こすとムーブメントごと交換されることになっており(コンプリートサービス利用時)、カルティエが自社製1904MCを投入した2010年以降の慣習に従っているものと思われます。ムーブメントの供給が終了してしまった場合や、交換して欲しくないという希望があればスイスに送られ、我々が一般的に想像する『オーバーホール(分解掃除)』が行われるようです。

このメンテナンスサービス内容に既視感があると思いませんか?

そうです。アップルの修理サービスがこの形態を採用していますね。アップルウォッチ(Apple Watch)が登場する前からアップル製品は基本的に交換対応してきたので、合理性が為せる形なのかもしれませんが、もしかするとアップルがカルティエを倣った体制なのかもしれません。であるとすれば、今度はカルティエがアップルに倣うのも、また不思議ではありません。

アップルウォッチはベルト交換が容易に行えると言う点で実に画期的なプロダクトなのですが、カルティエが採用するベルト交換機構『QuickSwitch』もベルトの着脱をユーザー自身で行うことができるようになりました。

レザーストラップについては、14,000円(税抜)の差額を支払うとカーフからアリゲーターにアップグレードすることが可能で、僕は断然そちらをお勧めします。QuickSwitchシステムを実際に操作した感触は意外と固く、慣れるまでに習熟が要ります。着脱には“押し込みながら引く”コツが必要という印象です。cartier-santos-2018-with-quickswitch-caseback

当然ですが、この時計はQuickSwitch専用なので、一般的なバネ棒を取り付けることはできません。したがって、カルティエ以外でベルトを別作することができないのが難点です。現在のところ、様々な色のストラップを用意してくれているものの、いつ廃盤になってしまうかわからないのは不安なものです。ただ、スチールブレスレットの出来が素晴らしいので、あまり交換する頻度は高くないかもしれませんが。cartier-santos-2018-with-quickswitch-bracelet

耐久性の観点では、ブレスレット/ストラップ側のエンドリンクに仕込まれた金属パーツ内の剥き出しのスプリングが汗や湿度で錆びてしまわないか日本の気候を考えると少し心配になる程度ですが、直接肌に触れる位置にないため杞憂でしょう。

供給面や他モデルへの普及に課題はあるものの、ベルト交換の徹底的な時短を図ったSmartSwitchは画期的だと思いますし、カルティエの全シリーズのコモンプラットフォーム化してほしいです。サードパーティのベルトメーカーにもアタッチメントの供給があるとなお良いです。

HODINKEEでも1週間の使用レビューがリリースされていますが、夫婦でシェアが可能なケースサイズとQuickSwitchシステムの秀逸さが絶賛されていました。唯一の欠点は、鏡面磨きされたベゼルが非常に傷つきやすいと言う点です。確かにケースは腕へのフィット感を高めるために微妙にカーブしており、そのことが死角を無くし、傷を受けやすい形状になっているからと思われます。

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僕も真剣に購入を考えましたが、ブレスレットリンクの可動域が狭いため、折りたためないという収納面での制約から断念しましたが、ブレスレットの交換の容易さを考えると、この一本だけで全てのシーンをカバーできてしまうというのは、実にスゴイことだと思います。

この薄さで100m防水というのも評価に値すると思います。パテック・フィリップのアクアノートやノーチラスに比肩するパッケージングだと僕は思います。そして、この時計のことを考えるたびに、ムーブメントの審美性に執着しがちな自分を戒めるのです。

この時計は、まだコレクションが充実していない方や、旅先に一本だけ時計を持ち込みたい人にとっては最適な時計となるでしょう。バネ棒が消える日も近い?

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