K.Iwahashiが語るラグジュアリー論







鞄職人・藤井幸弘さんとの出会いのキッカケ

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Fugee
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'79年生まれ。1浪2留の流浪期を経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融業界で会社員として勤務。英文翻訳が得意。 ラグジュアリー全般に関する考察と海外発の腕時計情報をいち早くお届けします。

豊島区要町の「Fugee」こと藤井鞄店を訪れて、ボックスカーフの長財布を購入して早くも2年の年月が経ちました。

オーナーの藤井幸弘さんとはRealBespoke展の翌日で大変お疲れだったと思うのですが、突然の訪問にたくさんのお時間を割いて、革のこと、製法のこと、棚に置いてある作品のことについて語っていただいたのを昨日のことのように覚えています。

そんな藤井幸弘さんを知るキッカケとなったのは、意外にもポートレート写真集でした。

日本のダンディズムに溢れた男たちを収めた写真集『JAPANESE DANDY』。そこに小松直幸さんを見つけ、「鞄職人」という肩書きに興味をそそられたのです。

調べてみると、小松さんは藤井鞄店での修行を経て、銀座で鞄のビスポーク店ORTUSを運営され、国内外から大変な人気なんだとか。

その小松さんが作る鞄は総手縫いなんですね。手縫いと言えば、靴のビスポークでも最上位に据えられるような手間のかかる作業です。

僕が関心を持ったのは、そんな小松さんを育てた藤井鞄店でした。

こうなると僕はいてもたってもいられなくなる性質なので、早速名古屋から豊島区要町の工房へ出かけました。

当時、僕の妻子は川崎市に住んでいて、ほぼ毎週羽田と名古屋を往復する生活でしたので、そんなことが可能だったのです。

当日は大雨で、一度アトリエの前までたどり着いたものの、ちょうど作業の途中だということで時間を改めて伺いました。再度アトリエの前に立った時には空は天気に転じていて、とても不思議な気持ちになりました。

職人といえば、何だか怖いイメージを持っていましたが、藤井さんはとても柔和で優しい方でした。

藤井さんに鞄をオーダーすると、2年はかかると聞いていたのですが、実際に伺うとなんと5年待ちとのことで、大変驚いた覚えがあります。今だとさらに待たなければならないかもしれません。

藤井さんはお話を伺った時には鞄の錠前など金具に大変凝っていらして、鑞付けもご自分でなさるなど金属に対する研究に大変熱心でした。

1986年にお店を始められるまでにはダイハツ車体で設計のお仕事をされていたことも関係あるのかもしれません。

藤井幸弘さんの傍には90年代半ばから女性の職人の金原リエさんがいらっしゃって、「持ち手の仕上げは彼女にかなわない」と藤井さんをして言わしめるほどFugeeの作品に「繊細さ」を与えています。

僕は鞄のオーダーにはまだ気が早かったので、革小物を在庫品から購入することにしました。その中でも、バーガンティ色のボックスカーフで作られた長財布を指して「これに決めました。これをください」と。

藤井さんは「ちょっと待って。値段を聞いてからにしたほうがいい」と仰って価格表を見せてくれました。カーフの長財布は15万円。でも、僕もそこは引か(け)ずに購入の運びに。

僕にとって、藤井鞄店の顧客リストに名前が加わったというのは大変嬉しい出来事でした。もちろん、ビスポークして完成を待つのが王道なのですが。

そんな僕が購入した長財布はこちらです。藤井鞄店の長財布、ボックスカーフ


この長財布はとても薄く作られていて、ジャケットの内ポケットに収めていても全く気にならないんです。そこが気に入っているのと、バーガンティ色なので靴や鞄が黒中心の僕の装いにもマッチしてくれるんです。

その後、僕は藤井さんから直接ではないけれどクロコダイルの札入れを入手したりとFugeeの熱心なファンであり続けています。

僕と藤井幸弘さんとつなげてくれたものが一冊の写真集であったことは、今思うととても奇妙でありながら必然でもあったという感覚です。人との縁は大切にしていきたいですね。

毎年、正月やイベントの折に作品の写真が載ったハガキが届くと嬉しくて堪りません。

次僕がアトリエにお邪魔するのは本筋である鞄の製作をお願いするときになるといいな。藤井さんからは小松さんのお店に行ってやってくださいと言われました。ご本人曰く「僕のは泥臭いんだけど、彼はとても洗練されていてお洒落」だとか。親方愛ですな。

おしまい。

 

余談(メディアに登場するFugee)

数年ごとにメディアにも取り上げられる藤井鞄店(と藤井幸弘さん)。2016年10月25日にはNHKのBSプレミアム 美の壷「人生を共にする旅行鞄」でも取り上げられています。

情報量が豊富な出版メディアとしては2011年1月のMEN’S EX特別編集「最高級 鞄&革小物読本」内「Fugeeの鞄が出来るまで」で作業工程の様子や他社の鞄評まで藤井さんがなされていて、貴重なアーカイブとなっています(私も最近入手しました)。このムックは表紙に藤井さんのバッグが載っています。

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