ブラックホールよりも黒い?ベンタブラックの文字盤を採用したH.モーザー の限定モデル「エンデバー パーペチュアルムーン 」
HODINKEEからコンセプチュアルなH.Moser(H.モーザー)Endeavour Perpetual Moon(エンデバー パーペチュアルムーン) Concept with Vantablack Dial(Ref. 1801-1200)の記事を紹介します。
H.Moserと言えば、AppleWatchに似せたAlpsWatchやスイスチーズをケースに閉じ込めたモデルを発表するなどやや「炎上商法」を狙ったきらいのあるメーカーですが、実は非常にマジメに時計作りに取り組んでいるメーカーでもあります。
僕はCEOのエドゥアルド・メイラン氏と軽くお話をしたことがありますが、非常に好青年な若い経営者です。そんな彼は時計師として名を馳せた名門メイラン一族の出身です。H.モーザーは経営難の最中、メイラン氏の父親が経営するMELBホールディングスが2013年に買収したメーカーです。
僕は名古屋市東区の時計店「時計・宝飾ヒラノ」で初めて同社のモデル「Mayu」を見せてもらい、その美しさに魅了されたのを覚えています。同社の文字盤はパテック・フィリップと同じ会社が担当していると聞きました。
さて、そのH.モーザーが既存モデルであるエンデバー・パーペチュアルムーンの文字盤に採用したのが、カーボンナノチューブ技術によって生み出された、人類史上最も黒い物質「Vantablack(ベンタブラック)」です。この物質に光が当たると、その99.965%をチューブ内に吸収し、最後は熱に変換してしまうのだそうです。
この物質を採用する時計メーカーは実はH.Moserが初めてではありません。 MCT Sequential One 110 EVO VantablackやLab-ID Luminor 1950 Carbotech 3DAYS(50年間オーバーホールが不要!)で実績はすでにあります。ただ、それらのモデルよりもより手に入りやすい価格(およそ400万円)まで降りてきてくれたという点で、H.モーザーはこの時計を「本気で」売ろうと考えているのです。
ブランドロゴもインデックスやマーカーすら排された暗黒の文字盤には、3本の針以外に銀色のムーンフェイズが1027.3年に1日の誤差で文字通り「浮き沈み」します。搭載するキャリバーHMC801は7日間のパワーリザーブを蓄える手巻きのムーブメントで、これまでのH.モーザーの基幹ムーブメントと同様、着脱が用意な脱進機を備え、審美性に優れた機械です。
42mmの直径に12.9mmの厚みのケースは意表を突くステンレススチール製。50本限定で製作されます。
しかし、いつも思うのですが、この文字盤で時刻合わせをするのは本当に神経を使うと思います。購入する人はアーティスト気質が強いパーソナリティでしょうね。
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