【SIHH2019】ジャガールクルト マスター・グランド・トラディション・ジャイロトゥールビヨン・ウェストミンスター・パーペチュアル
6時位置に取り付けられたトゥールビヨンのケージがまるで人工臓器のように鼓動していると錯覚するほど驚愕したのはジュネーブサロン(SIHH2019)で発表された、Jaeger-LeCoultre(ジャガールクルト)マスター・グランド・トラディション・ジャイロトゥールビヨン・パーペチュアルです。
ジャガールクルトがこの手の超複雑ムーブメントを手がけるのは2000年代ほどではないにせよ、エボーシュムーブメントの供給会社として、かつて名を馳せたルクルトの矜持を示したと言えそうです。
本作に搭載されるGyrotourbillon(ジャイロトゥールビヨン)は2004年のデビューから数えて第5世代に当たります。複数の軸を持つこのトゥールビヨンの登場はデビュー時、業界に大変な衝撃を与えました。第2世代以降はレベルソに搭載されたりと様々なモデルにその存在を見せつけました。
第5世代のジャイロトゥールビヨンにはさらにいくつもの複雑機構が組み込まれたことが特徴です。では早速見ていきましょう。
コンスタントフォース機構
このジャイロトゥールビヨン5に新たに追加された機構としてコンスタントフォース機構があります。コンスタントフォース機構とは、別称remontoir d’égalité(ルモントワール・デガリテ)とも呼ばれ、簡単に言えば1分ごとに主ゼンマイから動力を蓄積しては解放する機構のことです。このことで、トゥールビヨン機構へ安定したトルクを供給することが可能となりました。さらに、コンスタントフォース機構は分針のミニッツホイールと連動していて分針は1分ごとにミニッツトラックを正確になぞることができます。
秒針でいう、ステップ運針(デッドビート)を想像していただくとわかりやすいかもしれませんね。
分針がステップ運針することが、後述のミニッツリピーター(チャイムで時刻を知らせる機構)の鳴動エラーを軽減する効果をももたらします。
コンスタントフォース機構の原型は1595年にスイスの時計製造者である ヨスト・ビュルギ (Jost Burgi) が発明しました。
ミニッツリピーター
ミニッツリピーターはイギリス国会議事堂の時計台ビッグベンが奏でるウエストミンスターチャイムをモチーフに、G-C-D-Eの4つの音階を青焼きされた蚊取り線香状の共振ワイヤーを左右のゴングで鳴らします。音の伝達はサファイアクリスタルを通して増幅され、クリアな音質を楽しむことができます。
パーペチュアルカレンダー
永久カレンダーもクセのある、凝ったつくりになっています。この時計のデイトカレンダーは文字盤の外周を囲むのですが、一部(40°分)がジャイロトゥールビヨンのキャリッジの弧によって欠けています。ただし、デイトは直前の16日と直後の17日はきちんと刻まれているのです。
そうです。16日から17日に切り替わる時には40°分一気に跨いでジャンプするのです!これはマニアックなムーブメントファンが狂喜乱舞するでしょうね。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。ジャガールクルト マスター・グランド・トラディション・ジャイロトゥールビヨン・ウェストミンスター・パーペチュアルは近年でも稀に見る超複雑な機構をいくつも備えたムーブメントを持つ時計でありながら、その姿は美しく、直径43mm、厚み14mmのケースは装着性にも優れるだろうと思います。
生産数は僅か18本。800,000ユーロで販売される予定です。
基本情報 | |
メーカー | Jaeger-LeCoultre(ジャガールクルト) |
モデル/型番 | MASTER GRANDE TRADITION GYROTOURBILLON WESTMINSTER PERPETUEL/Ref.Q52534E1(ブルー)Q5253420(シルバー) |
直径×厚さ | 直径43mm×14.08mm |
ケース素材 | ホワイトゴールド(18KWG) |
防水性能 | 30m |
ブレスレット | 両面アリゲーターストラップ |
価格/発売時期 | EUR800,000(約1億円) |
ムーブメント情報 | |
キャリバーNo. | Cal.184 |
巻上方式 | 手巻 |
石数 | 126 |
調速機構 | 多軸トゥールビヨン |
パワーリザーブ | 52時間 |
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