宮城興業 CS-107

ふるさと納税でオーダーした山形県南陽市・宮城興業のオーダー靴『和創良靴』が納品されました!

ふるさと納税制度を昨年初めて利用してみました。

はっきり言って、自治体が寄付金の半額程度の返礼品を寄附者にキックバックするこの制度は極めて不健全だと思わざるを得ませんが、納税者に対する優遇税制だと考え直して利用してみることにしました。

自治体にありがちな横並びな特産品の中で魅力的に映ったのは、山形県南陽市の宮城興業という靴製造業者のオーダー靴の仕立て券です。10万円寄附すると、5万円の仕立て券が届き(2018年より15万円に対して5万円、10万円に対して3万円に改定されました)、代理店経由でオーダーするシステムです。

早速、寄附をして仕立て券が送られてくるのを待ちます。2週間ほどで届きました。わざわざ仕立て券にするまでもなく、もっと簡素化できないのかな?そう思わないでもありません。

僕の住む名古屋周辺の代理店は実は数が多くなく、紳士服販売をメインにされているお店が殆ど。これは多分、全国的にも同じ傾向であると思います。

早速、オーダーのための採寸のアポイントを最寄の代理店に取りました。

 


代理店さんでは、プラスチック製の計測器で足のサイズを測った後にゲージ靴という計測用の靴を履いて感触を確かめます。

ところが、その代理店さんではWidth(ウィズ)の狭い僕のサイズと同じゲージ靴がなく「大体こんな感じだろう」とサイズを決めてしましました。そう、代理店さんはシューフィッティングにおいてはプロではないのです。これには不安を憶えました。サイズが合わなければ、ストレッチするか革を足して調整すれば良いという考え方のようですが、何度もお店に出向くのは面倒です。

細かいオプションについてもオーダーシートを渡されましたが、靴に詳しい僕でも一瞥して判断は不可能です。非常にざっくりとした仕様を伝えてオーダーを終えました。

オーダーは大きく3つのラスト(木型)から選びます。僕が選んだのはチゼルトゥという、少し爪先がスクウェアな形の靴です。型番はCS-107「愛」というすんごい名前の靴です。

革はコードバンを選びたかったのですが、品切れ中ということで仏アノネイ社のカーフを選択しました。

これで5万円分の仕立て券にさらに5千円ほどの追加料金です。

待つことおよそ1ヶ月半後、ようやく納品。待ってる間は楽しみというより不安でしかなかったです。

ところが、実際履いてみると…何これ?最高に履き心地良いやんけ!

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実に美しく、そしてサイズもタイトで履き心地が良い。ベルルッティの靴のように美しい。

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何よりもアノネイの革の質がとてもよろしいです。僕は同じアノネイ社のボックスカーフを用いたUチップ『勘三郎』を5年程愛用していますが、同社の革独特のグニャっとした履きジワが美しく入るところが 堪りません。宮城興業で使用するアノネイ社カーフは三陽山長と同等のクォリティだと僕が断言しましょう。

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トゥには飾り穴などのオプションを追加できるようでしたが、プレーンのままです。これはこれで良かったです。

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ロングノーズの靴は実は初めてで、カモノハシのようなフォルムが新鮮に思えます。


とまぁ満足はしておりますが、やはり代理店さんのスキルはまちまちだという現実と限界を感じた今回のオーダー。オーダーとは言っても、仮縫いのあるフルオーダー(ビスポーク)であるわけでもありませんし、あくまでパターンオーダーなので、過度な期待は禁物だということです。

ただ、この経験は早速2足目に生かそうと思います。今度は靴専門の代理店で九分仕立てのオールデン風Vチップを宮城興業の幅広なオブリックラストのMD-2『伝次郎』をアノネイ社のカーフで作ろうと考えています。九分仕立ては文字通り工程の9割をミシンではなく手縫いで仕立てる方法で、3ヶ月の納期延長と24,000円の追加料金がかかります。アイディアはここの記事から丸パクリです。


最後に。今回のオーダーではシューツリーの追加を失念していたため、宮城工業にメールで問い合わせたところ、荒川産業のキングヤードが同等品だということで慌ててオンラインで調達しました。Amazonでも購入可能です。ウィズがD以下であればワインサイズ小さいツリーを選ぶのがコツだそうです。

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