【PR】デンマークのエコでミニマルなウォッチメーカー『Nordgreen(ノードグリーン)』の時計を徹底レビュー!

機械式時計に魅せられて20年以上が経つが、僕の時計遍歴には少なくないクォーツウォッチが並んでいる。腕時計を必需品と痛感したのが、大学受験時に時計を持参していなかったためにペース配分が掴めず、現役時代に全滅を喫してしまった経験だ。浪人生活に入り、すぐに手に入れたのが腕時計である。デジタル表示のアルバ スプーンに始まり、アナログ表示のSTORMまでその1年で何本かの時計を手に入れたと記憶している。もちろん、機械式時計など望むべくもなくムーブメントにクォーツを搭載する時計ばかりである。

その当時の刷り込みがあるからか、周期的に僕はクォーツウォッチに先祖返りする。

今回僕が手に取ったのは、北欧デンマーク コペンハーゲンで2017年に創業したNordgreen(ノードグリーン)社のクォーツウォッチだ。ノードグリーンは2017年にPascar Sivam(パスカー・シバム)とVasilij Brandt(バジリ・ブラント)によって設立された比較的新しいブランドで、Bang&Olfsen(バング&オルフセン)でキャリアを持つJakob Wagner(ヤコブ・ワグナー)をチーフデザイナーとして据え、多彩なラインアップを展開している。僕はDTM(デスクトップミュージック)畑出身なので、Nord(ノード-欧州語圏で“北”の意味)と聞くと、”北欧の赤い悪魔”として渾名されるシンセサイザーメーカーNordLead社が頭に浮かぶ。いずれの会社に共通するのは、比較的枯れたデジタル技術を取り入れながらもミニマルなデザインに徹するところである。

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化粧箱も再生資源から作られている

さらにノードグリーンが力を入れているのが、社会貢献プログラムである。南米熱帯雨林保護とインドの子供たちへの教育投資、中央アフリカ共和国における安全な水の供給を柱に、時計の購入者はどの事業に投資するのか選択することができるなど斬新な提案も行っている。

この手の慈善事業投資にありがちなのは、プロダクト自体がその事前事業の内容に矛盾することだ。時計メーカーを例に挙げるとすれば、環境保護を訴えながらレザーストラップを装着した腕時計を販売することだ。こうした二枚舌的なチャリティー活動には非常にモヤモヤとした感情を抱くものだが、ノードグリーンに関しては、北欧的な生真面目さで一貫性を保っている。

例えばレザーストラップの代替にヴィーガンレザーを使用している。ご存じのとおり、ヴィーガンとはヴィーガニズム(veganism)、つまり人間が動物から搾取することなく生きるべきだという思想をいう。この思想に立てば、時計のレザーストラップはヴィーガンの人々にとっては避けるべきアイテムとなる。そこで、ノードグリーンは、人工皮革をレザーストラップの代わりに提案している。もちろん、レザーの風合いは天然皮革と比べ物にならないが、染色した時の発色の良さなどは人工皮革に軍配の上がる分野であり、ストラップが消耗品であることを考えると僕はヴィーガンレザーがもっと高級時計に浸透しても良いと思う。とはいえ、ストラップの肌に触れる革などは人工皮革が増えてきていることもあり、業界全体として向上しているといえる。しかし、ノードグリーンの取り組みは一歩先を行くといっていい。

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交換取付可能なビーガンレザーストラップ

ストラップに着目すると、ノードグリーンの時計はどのシリーズも、ストラップを交換することを前提にしている。その中でも秀逸なのが、メッシュ地のメタルストラップだ。編目が肌理細やかで、かつ剛性感を保っている。留め金から余ったメッシュ地がズレてだらしない印象をもたらすこともない。バックルは同封されるマイナスドライバー状のこじ開けを使って長さを調節するが、女性が自分で調整するには力を要するので、時計店で調整することをおススメする。同様に、バネ棒を工具なしで取り外すクイックパレット(爪を引っかけるレバーの付いた方式)もやや硬く、女性の爪を痛めてしまう可能性がある。しかし、その分バネ棒の強度は十分あると感じたので、この点はトレードオフといえるだろう。

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ブレスレット取付部分。バネ棒は工具なしでも取り外しできる

ムーブメントはシチズン系列のミヨタ社製クォーツだ。Infinityは2針だが、2秒刻みで分針が徐々に進む。ステップ分針でないところに好感を抱く。リシュモン系の高級時計でも2針クォーツはステップ運針するが、僕はクォーツであっても分針はスイープ運針する方が好ましく感じる。日本製のムーブメントだけに故障した際のムーブメント交換は容易な点は安心だ。裏蓋はスナップバックとなっており、防水性能は3気圧の日常生活防水である。

ケースの造形は、IKEPOD(アイクポッド)を思わせる独特な形状で、ラグが存在しない。ケースバックに取付用の切欠きがあり、表から見るとベルトがケースをシームレスに貫通しているかのようだ。メタル/ヴィーガンレザーのどちらを取り付けても実にナチュラルに魅せるのは秀逸である。

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ケースを抉るようなインナーラグ

文字盤は縁に向かってせり上がるお椀型となっており、アプライドインデックスも文字盤の形状に合わせて曲線状に加工されている。一般に文字盤は、フラットよりもドーム型の方がコストが嵩むことを考えると、ノードグリーンは文字盤のディティールが凝っている。そのおかげで僅か7.34mmの薄いケース厚でありながら、立体感に優れる。風防はフラットなミネラルガラス製だ。ノードグリーンの一部のモデルは風防にサファイアクリスタルを採用しているが、僕は本モデルも同じ仕様にしてほしかったと思う。とはいえ、この価格帯でサファイアクリスタルを採用する方が異例のことである。フラットな形状であることから風防を傷つけてしまうことも少ないだろう。

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すり鉢状のダイアルに沿って湾曲したアプライドインデックス

ノードグリーン Infinity 32mmを妻が1週間身に着けた印象は、「ミニマルでありながらチープさを感じさせない」と好印象だ。ただし、ヴィーガンレザーはもう少し薄く仕立ててあった方が良く、若干の野暮ったさを感じないこともない。また、厚みがある分どうしても取付けが苦しい。その点、ステンレスメッシュベルトは薄く装着性にも優れ、洗練された印象を持つ。ピンクゴールドの風合いも非常に上品だ。

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メッシュベルトの余剰部分は内側に収まる仕組み。クラシックなブレスレットによく見る形状だ

価格も2万円台が基本レンジと魅力的なノードグリーン。しかし、この価格帯には競合も多い。まず、日本にも支持の多いスウェーデン発のブランドDaniel Wellington(ダニエル・ウェリントン)である。シンプルなフェイスの時計にストラップ交換のオプションを用意し、とりわけNATOストラップを選択する若い人をよく見かける。ブランド名はイギリス人風だが、創業者の名前ではない。ヴィンテージウォッチにNATOストラップを組み合わせていた実在の英国人の名を創業者であるフィリップ・タイサンダーが拝借したという興味深い沿革を持つブランドだ。DWは創業が2011年とこの手のブランドでは比較的長い歴史を持つ。後発のノードグリーンこの牙城を崩せるか期待したい。

そして、2014年創業、吉祥寺発のKnot(ノット)である。こちらも主力はシンプルなクォーツウォッチであるが、販売方法が面白い。時計本体とストラップを別々に購入するのだ。したがって、時計本体は2万円を切る価格で購入可能だ。ストラップの素材のバリエーションも充実している。面白いところでは栃木レザー(牛革)、藤豊クロコダイルの採用や、ファブリックストラップはベーシックなナイロンに加え、昇苑くみひもや筑前織物博多織まで用意されている。それゆえに価格のレンジも幅がある。時計本体はフェイスのバリエーションに加え、ケース形状も豊富に取り揃えている。また、一部のモデルは国産の機械式ムーブメントを採用していて、どちらかという時計愛好家向けに舵を切っているように見受けられる。日本人特有のこだわりの深さゆえなのだが、メインターゲットがぼやけてしまっているのが、北欧組との差である。

同じくデンマーク ユトランド半島の地名をブランド名とするSKAGEN(スカーゲン)も、比較的カテゴリに共通項の多いブランドであるが、2012年にFossil傘下となって以降はスマートウォッチやスウォッチタイプに軸を移した感もあり、レディースの一部にノードグリーンの競合となり得るカテゴリを残すのみである。

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オールドインター(’60年代後期のIWC)と並ぶNordgreen Infinity

とはいえ、これらのブランドと差別化するコンセプトは上述した地球環境への取り組みであり、問題意識の高い若年層の支持を獲得していくのではないかと思う。今回、ジャガールクルトのレベルソ クォーツが故障してしまった妻のためにチョイスしてみたが、非常に満足感が高く、僕自身も一本選んでみたいと思った。時計愛好家の目線から見ても、ノードグリーンは好感が持てるブランドである。

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