セイコープレザージュ 漆・白檀塗『SARW045』世界限定2,000本

セイコーの準高級ラインであるプレザージュから新作、漆・白檀塗『SARW045(北米ではSPB085)』世界限定2,000本が発売されました。グランドセイコーが太陽ならば、プレザージュは月のような存在で、北米マーケットでの認知度も高まってきている昨今。今回もクラフトマンシップの粋を極めた作品を提供しています。

プレージュではなく『プレージュ』と濁音読みするので、皆さん覚えておきましょう。

外観

「[ruby]漆黒[rt]しっこく[/rt][/ruby]」という表現があるように、下地の黒い文字盤は漆によって何層も手作業によって塗っては磨かれています。しかも、文字盤と針との間の僅かな隙間に干渉しないような平滑さが求められる高度な要求水準をクリアしているのです。実際に歩留まりも相当低いのではないでしょうか。
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この漆塗りを担当するのは金沢市の加賀蒔絵師・田村[ruby]一船[rt]いっしゅう[/rt][/ruby]氏の手によるものです。文字盤は金属ですので、まず漆の定着を促すために駿河炭で[ruby]凹凸[rt]おうとつ[/rt][/ruby]を付けるそうです。漆塗りは元々木材に対して施すものですから、一工夫(だけではないと思いますが)必要なのですね。seiko-presage-sarw045-isshu-tamura

9時位置のパワーリザーブには蒔絵のような金色の筋が施されています。まるで、月のようです。3時、6時の曜日、スモールセコンドのサブダイアルには燕脂のような、我々が漆器でよく目にするような漆塗りが施されています。欧米人の目には夕焼けが想起されるでしょうか?まさに日本のノスタルジアを想起させられるような配色です。
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アワーマーカーは高貴さの象徴とも言うべきローマ数字が白で書かれており、日本的な内に篭る美意識と対照をなしています。このバランス感覚は見事です。

ムーブメント

この時計がグランドセイコーの9Sムーブメントを積んでしまっては格式が破綻してしまいます。搭載するのはプレザージュシリーズではお馴染みの6R21です。日差+25秒~-15秒、パワーリザーブは45時間の標準的なスペックですが、忘れてはならないのは、パワーリザーブ計を搭載するということは、即ち複雑機構を搭載するということです。ムーブメント愛好家にとってもSARW045は魅力的に映るのではないでしょうか?seiko-presage-sarw045-6r21

総括

40.5mmの直径に12.8mmの厚さはやや大きい印象ですが、文字盤の情報量を考えると、適度なサイズ感と言えそうです。願わくは、防水性(10気圧)を多少犠牲にしても、厚みを抑えることでしょうか。

これだけの手作業の工程を経た文字盤ですから、メンテナンス時の文字盤交換は望むべくもないでしょう。本当の一点物と割り切って購入するのが賢い選択です。

日本国内定価は27万円(税抜)と30万円を切る価格で発売されるというのは、ある意味驚きに値します。価格に見合う以上の価値を提供しているとオーナーはお感じになるのではないでしょうか。

セイコープレザージュ漆・白檀塗『SARW045』は2018年12月8日に世界限定2,000本にて発売されます。

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