K.Iwahashiが語るラグジュアリー論







銀座のバッグ工房「オルタス」で初オーダーした革小物がオーダー第1号だった話

WRITER
 
ORTUS
この記事を書いている人 - WRITER -
'79年生まれ。1浪2留の追加モラトリアムを経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融セクターのIT部門にて(マジメに)勤務。 時計や車などのラグジュアリー、服飾、DTM、それらにまつわる書籍の記事が得意です。

銀座一丁目にある鞄工房「ORTUS(オルタス)」は工房を主宰する小松直幸氏が写真集「JAPANESE DANDY」にモデルとして掲載された3年前に初めて知ってから、ずっと訪れたかった工房です。

「オルタス」オーナーの小松直幸氏は私より2つ歳上の職人さんで、8年間Fugeeの藤井幸宏氏の元で修行されたのち、ビスポーク靴職人・高野圭太郎氏のクレチマスのアトリエの一角で鞄のオーダーを始めました。このコーナーが手狭となったことから、今の工房を創設されたのが2012年。それから間も無く6年が経とうとしています。

そのORTUSですが、香港とニューヨークのアーモリー(Armoury)で年1回トランクショー(オーダー会)を開催していることから、海外でよく知られた存在です。

アーモリー(Armoury)のオーナーは若干35歳の青年Mark Cho(マーク・チョー)。クラシコイタリア、ブリティッシュ、アメリカンスタイルを提供するショップです。日本で言えばスコトラスブルゴに近いのでしょうか。

今回、僕が訪問した目的は、鞄の造りを自分の目で確認することと、革小物をオーダーしてこの工房の顧客になることです。

工房は有楽町線「新富町」から5分程度歩いた京橋公園に面したビルの2階にあります。2階の窓から小松氏が黙々と作業に勤しんでいるのが伺えます。そんな彼を公園から暫く眺める僕は明らかに異常だな、と我に返って工房に足を向けました。

お店に入ると、小松さんと職人と思われる方が黙々と作業されていました。静謐な空間を突如破ってしまったことに、少しの罪悪感を覚えながらも、鞄を見せて欲しい旨を申し出ると快く迎え入れてくれました。

Ortus-鞄

Photo by  permanentstyle.com

小松氏のキャラクターは写真で見るクールで知的な印象とは一味異なる、非常に優しい印象。でも、いくら褒めても照れたり動じたりしない。作るものに自信がある表れだと思いました。
まず、鞄ですがORTUSの鞄は本当に美しいです。手縫いのステッチの正確さはもちろん、金具の流線型が非常に色気があるのです。しかも、金具も自前で作っています。

僕はORTUSの鞄を、シュリンクカーフなど耐久性の高い素材を使って誂えるイメージを勝手に持っていましたが、ここでオーダーするなら経年変化の大きいブライドルレザー、それも色はロンドンタンを選びたいと考えを新たにしました。

次に、革小物は「小さな鞄」のようなもので、その鞄店の力量が凝縮されているアイテムなので、僕は目を付けた工房の小物から収集していくことを流儀としています(求めやすいと側面もあります)。

その中で、まだ定番化されていない「マネークリップ」をオーダーすることにしました。それがこちら↓です。


僕はマネークリップが昔から好きで、ポルシェデザイン、ボッテガ・ヴェネタのそれを愛用しましたし、Valextra(ヴァレクストラ)のを購入しようか検討していたところでした。

このマネークリップの素晴らしいところは、クリップ部分の金属が取り外せないことです。取り外せるということは予期せず取り外れてしまうのと表裏一体であり、僕は会計のときに何度も恥ずかしい思いをしたので、この仕様はなるほど考え抜かれているなと思いました。金属部分は真鍮とシルバー925から選択可能です。小松さんが奥からクリップ部分の金具を見せてくれました。コンポーネントを分解して部分的に使うそうです。

カードは左右1枚ずつ計2枚入れることができます。カードが中央部に配置されるようポケットが配置されているのは、カードが「芯」になるように配慮されているから。したがって、長く使っても変な「アタリ」が出ないのです。

写真のサンプルは両面ボックスカーフで、この仕様だと65,000円とのこと。外材をクロコダイルにすると、16万ほど(要見積)。クロコダイル革の最近の動向は、大きい個体のものが多く、小さい個体のものが少ないそうです。大きい方が取れる革の面積が大きくなるということで、クオリティが落ちてもそういう方向に走ってしまうのですね。

僕はかねてからオルタスの小物は「リザード」で作りたいな思っていましたが、実際リザード革を使っての注文が多いということで、僕も膝を打って黒いリザードを選択。内装はボックスカーフ、糸は同色としました。このオーダー内容での価格は80,000円(税抜)です。

革小物は鞄よりもさらにステッチが細かくて、これが本当に人の手によるものなのかと驚愕しました。もちろんこれも手縫いなんですよ。

ふと、小松さんが「このマネークリップをオーダーされるのはお客様が初めてなんですよ。だから、まだ値段も決まってなくて…」と仰いました。こんな素晴らしい革小物を誰もオーダーしていない!?第1号となるのは少し嬉しいのですが、勿体ない気もしますね。だからこそ、この記事で微力ながら拡散します。

オーダーから納品まで2018年9月時点の納期は15〜16ヶ月ということです。鞄はさらに2年超ということなので、小物の完成前にオーダーしようか検討中です。内金(2割程度)を支払ってオーダー完了となります。

最後に。顧客台帳に自分の名前を書く際に、中国系の顧客が多いことに驚きました。アーモリーなどのセレクトショップの影響力もあり、かつ銀座はインバウンドの聖地のような立地だからと納得しましたが、この方は世界で活躍する方なのだということが明確に理解できました。

この記事を書いている人 - WRITER -
'79年生まれ。1浪2留の追加モラトリアムを経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融セクターのIT部門にて(マジメに)勤務。 時計や車などのラグジュアリー、服飾、DTM、それらにまつわる書籍の記事が得意です。
スポンサーリンク














- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 鰯の飽くなき収集癖 , 2018 All Rights Reserved.