K.Iwahashiが語るラグジュアリー論







W10復刻は絶妙のサイズ感! ハミルトン カーキ アビエーション パイロット パイオニア

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'79年生まれ。1浪2留の流浪期を経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融業界で会社員として勤務。英文翻訳が得意。 ラグジュアリー全般に関する考察と海外発の腕時計情報をいち早くお届けします。

実は初めて購入した機械式時計がハミルトン カーキ9415Aという僕。ベトナム戦争時代の1962年に MIL-W-3818B /MIL-W-46374として米軍に官給品として提供されていた時計の復刻モデルは、当時買うことのできる価格の時計であったことくらいで、特別な思い入れはなかったのですが、秒針がスイープすることすら驚きだった僕に、機械式時計の何たるかを教えてくれた思い出深いモデルです。

それから20年の時を経ましたが、ハミルトンが新作としてリリースしたのは、1970年代のW10復刻版のカーキ アビエーション パイロット パイオニア (Ref.H76419931)です。ただの復刻版なら驚かないのですが、オリジナルと同じ33mm × 36mmのクッションケースは平均的な東アジア人の体格にベストといえるので、大注目のモデルなのです。

W10は1973年から1976年まで製造された空軍向けの官給時計です。クッションケースが実に70年代らしくていいですね。79年生まれの僕としては、非常にノスタルジアを感じるケースデザインです。もうひとつ、このクッションケースの特徴を挙げると、ラグがとても短い。ラグが短いと時計の装着感は良くなります。

例えばノモス(NOMOS)もケースサイズが小さいことで有名ですが、ドイツ人の体格を考慮してかラグがとても長く、身に着ける人を選びます。

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グレーのNATOストラップは18mm幅 Photo by HODINKEE

僕が初めて手にした9415Aも33.4mm径のラウンドケースですから、特別なサイズ感とは言えません。しかし、2019年に新作としてこのモデルをリリースするということに非常に大きな意味を感じます。

2010年代に40mmオーバーの腕時計があまりに一般化し、36mm以下の腕時計を探すことは非常に困難になりました。一筋の光明と言えるのが、2018年に復活したロレックス デイトジャスト36です。ロレックスは今後このサイズ帯でのドミナント(支配獲得)を狙ってくるでしょうし、多くのメーカーがそれに追随すると思います。ハミルトンの本作もそうしたトレンドを受けたのかもしれません。

僕は2019年以降は自分が購入する時計の基準として、36mm以下であることを条件としました。どんなに魅力的な時計でも、そのサイズを満たしていないと購入しないというわけです。それは僕の体格とのバランスを均衡する上での取り決めです。例外はオメガ スピードマスター プロフェッショナルだけ(マーク・チョ氏に倣いました)。

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テキスチャードダイヤルを採用した文字盤 Photo by HODINKEE

文字盤でまず目を惹くのはHAMILTONのイタリック表記です。6時位置のAUTOMATICのゴシック表記と対照的で、ポストモダニティを感じさせるタイポグラフだと感じます。オリジナルでは6時位置にブロードアローが表示されるのですが、復刻版ではその表記は許されなかったようです。

ヴィンテージウォッチの定番ともいえるレイルウェイトラック。その名が示すとおり、鉄道時計の系譜です。オメガ シーマスター 1948(Ref.511.12.38.20.02.001)でも見られますが、視認性が求められる航空時計にも最適なんですね。

最大の特徴はグレーのテキスチャードダイヤル。繊維質様文字盤ですが、1950年代に存在した防磁用の軟鉄製文字盤を模したのでしょう。

個人的に惜しいなと思うのは、風防にミネラルガラスを採用している点。原理主義的にプラスチック風防か、実用的なサファイアクリスタルを採用して欲しかったところです。しかし、ドーム状のこんもりとした風防のヴィンテージ感は堪らないものがあります。

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オレンジに退色した蓄光料は発光すると、かくも力強い。 Photo by HODINKEE

5分おきに配された蓄光量は、ホワイトペイントを下地に日焼けによる経年変化をエミュレートしたオレンジ色です。しかし、光を蓄え発光するサマは現代風なグリーン。このコントラストも素晴らしい。

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80時間ものパワーリザーブを誇るH-50 Photo by Hamilton

搭載するムーブメントはETA2801-2ベースのH-50です。1対の偏心ネジの付いたテンワが確認できることからフリースプラングなのでしょう。パワーリザーブは80時間の手巻きムーブメントです。H-50はカーキ フィールド メカ(H69439931)の採用でも実績があるので、初出ムーブのような不具合の心配もまずないでしょう。注意が必要なのは、磁気帯びです。耐磁性を謳っていませんし、ケースが薄い分磁力の影響は受けやすいかも。

裏蓋は硬派な時計らしく、トランスパレントではなく、クローズド。それを4本のスクリューで留めています。スクリューバックでないことを責める愛好家もいるでしょうが、スクリューバックでは、9.95mmという薄さを実現する事は叶わなかったでしょう。

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コンシールドケースバックは4本のビスで留められる。 Photo by HODINKEE

ハミルトン カーキ アビエーション パイロット パイオニアは1,000ドル(日本価格では105,600円)を切る時計としては驚くような内容の濃い時計です。

この時計は僕なら海外渡航に携えたいと思います。盗られたら落ち込みますが、晴天の霹靂というほどのダメージでもないと思うからです。税関に尋問されることもないでしょう。

本モデルを2019年8月より先行販売するRevolutionのウェイ・コー氏が言うとおり、まさに「Huckleberry(探し求めていたもの)」というわけです。そうですとも、僕もまさに探し求めていた時計です。近日入手することになりそうです。

基本情報
メーカー HAMILTON
モデル/型番  Khaki Pilot Pioneer Mechanical /Ref.H76419931
横×縦 33mm × 36mm
ケース素材 ステンレススチール
防水性能 100m
価格/発売時期 105,600円(税込)/2019年8月
ムーブメント情報
キャリバーNo. Cal.H-50(ETA2801-2ベース)
巻上方式 手巻
振動数 28,800
調速機構 フリースプラング
パワーリザーブ 80時間
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