K.Iwahashiが語るラグジュアリー論

リシュモングループの大ボス ヨハン・ルパート氏が職人文化を保存するための財団を設立

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リシュモングループの大ボス ヨハン・ルパート氏が職人文化を保存するための財団を設立







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'79年生まれ。1浪2留の追加モラトリアムを経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融セクターのIT部門にて(マジメに)勤務。 時計や車などのラグジュアリー、服飾、DTM、それらにまつわる書籍の記事が得意です。

Financial TimesからJohann Rupert(ヨハン・ルパート)氏のインタビュー記事の紹介です。

リシュモングループは僕が耽溺するラグジュアリーのコングロマリットです。今手元にあるだけで、モンブランのボールペン、カルティエのテーブルクロック、ボーム&メルシェ「クリフトン」ボーマティック…これらはリシュモングループのブランド群の品々です。

そんなリシュモングループの総帥であるヨハン・ルパート氏が「Michelangelo Foundation(ミケランジェロ財団)」という組織を立ち上げるにあたって、フィナンシャルタイムズ紙のNick Foulkes氏がインタビューしています。

ミケランジェロ財団は職人文化を、まさに職人技を磨く人材、その価値を評価できる人材の両面で支えていくことを目的とする組織です。その原体験となったのは、彼が贔屓にしていた金物屋「Lorenzi」が2014に閉店してしまって、誰も継承する者がいなかったからだとか。

夕食後に思いついた打開策は次の朝食前には立ち消えになるものだ。

しかし、ルパート氏はそれから4年後、初の「ヨーロッパの職人文化の頂点に立つ人々に焦点を当てた初の展示会」であるHomo Faber展を2018年9月14日にベネチアで開催するまでにこぎ着けました。ここでは400を超える職人たちが紹介される予定で、時計製作はもちろん、クロコダイル革の磨き職人までジャンルは様々です。

Londonでインタビューを受けたルパート氏はこう語りました。

ヨーロッパが世界に売れるものは何か?それは文化、歴史、審美眼だ。ガイドなき職人技は文化の浪費だ。

これがまさに財団の存在意義と言えます。

彼の生い立ちにも触れられています。ヨハン・ルパート氏は1950年南アフリカ生まれ。父のアントン・ルパート氏は同国のタバコ産業の重鎮でありますが、父親が初めての車を買ったのは彼が18歳になる頃だった述懐している通り、常に1929年の世界恐慌の恐怖が影を落としているような経済観念の家庭に育ったようです。

したがって、ヨハン・ルパート氏がラグジュアリー界で身を立てることを父は反対しました。それも、フィアットの会長ジャンニ・アニエッリがメンターであるアンドレ・メイヤーからカルティエの購入をやめるように説得したいう話を引き合いにして。

まさにそのカルティエの大ボスとなった彼ですが、現在彼が危惧しているのはニューマネーの台頭と中間層の減少が、ひいては職人の絶滅を招くことだそうです。

同時に、彼自身が口コミでしか知り得なかったビンテージフェラーリのレストアカンパニー「Cremonini Carrozzeria」やマドリードから100km離れた山奥にあるブーツメーカー「Artesanía Muñoz」にような名工の数々を伝える「カタリスト(媒介者)」の役割をミケランジェロ財団が担うことができれば良いと彼は考えています。

もっとも、生き馬の目を抜くラグジュアリー界ですから、彼の語る理念を額面通り受け取る人は多くありません。ビックメゾンでHomo Faber展に参加しているのはHermèsとChanelのアトリエだということからもそのことが窺えます。つまり、ミケランジェロ財団が新たな才能の青田買いになることを危惧しているのです。

日本では職人が礼賛されすぎる傾向があるので、愉しむスキル(そしてそれをガイドできる能力)の両面で磨かれていくと、ラグジュアリー文化はより成熟するでしょうね。もちろん、ルパート氏の試みと同じく、その道は険しいものとなるでしょうが。

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'79年生まれ。1浪2留の追加モラトリアムを経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融セクターのIT部門にて(マジメに)勤務。 時計や車などのラグジュアリー、服飾、DTM、それらにまつわる書籍の記事が得意です。
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