読書

株式投資の良書3選

2017年から確定拠出年金がスタートしました。

2018年から「つみたてNISA」が始まって、いよいよ貯蓄から投資へのシフトが加速していきそうな勢いです。

我が家は長男、私自身、妻の「ジュニアNISA」や「つみたてNISA」の枠をフル活用して運用しています。もちろん確定拠出年金にも毎月12,000円投じています。

私自身の名義でアクティブファンド、妻名義でインデックスファンド、長男名義で内国ETF、REITの構成で運用しています。

貯蓄の代替なので、個別の銘柄は保有していません。

運用額が大きくなって来たところで、自分の投資リテラシーが大したことないことに不安を感じて書籍の力を借りる事にしました。「運用してる」っていうのは大人の階段登る的な陶酔感があって危険なんですよね。

田端信太郎氏の受け売りですが、時間を無駄にできないので。

僕が選んだのはこの中の3冊。

まず、チャートを軸に投資判断を行うテクニカル分析のための本がベレス&カプラ共著の「デイトレード」です。僕はチャート眺めるのも好きなんですよね。皆さんもそうかもしれませんね。

でも、この本はテクニカル分析を行うための具体的な手法が全く書かれていません。むしろ、投資の心構えを説く本です。それがなかなか思想的にしっかり刺さるのがこの本のよいところ。

「一攫千金を狙うな。損切りしろ」というのに集約できます。

次に僕の今の投資スタイルに近い「インデックスファンドのバイ&ホールド」を推奨するのがバートン・マルキール著の「ウォール街のランダム・ウォーカー」です。

後半部から具体的な銘柄選定の話になりますが、分散投資の限界効用が50銘柄までであることを知っていましたか?こういう学術成果から得られる知識が豊富に詰まっています。さすが、名門プリンストン大学の教授!自分のライフステージ(年齢)に応じた投資スタイルを提案しているのも注目です。

例えば下のパイ・チャートは30代後半から40代前半のアセット・ミックス(資産構成)の提案です(本書より引用)。ここで、注目すべきは債券を2割程度組み入れていることです。60代以降はこの債券の比率を35%程度に高めていくのが良いと力説しています(なぜかは後述)。
ちなみに債券はノーロード型の債券ファンドを推奨しています。同時に、株式市場とは相関しない動きをする不動産についてもREITなどで投資すべきとしています。株式については内国:先進国:新興国を2:1:1の割合でインデックス・ファンド運用する。

最後に、テクニカル分析でもファンダメンタル分析でもバイアンドホールドですらない、経済的なイベントで柔軟にスタイルを変えるべきと提唱するのが、アメリカのお茶の間で人気らしいジム・クレイマー著「ジム・クレイマーの株式投資大作戦」です。表紙は俗っぽい香りがしますが、内容としてはごく真面目です。

2000年代前半に書かれた本ですが、紹介されているWebサイトのリンクが存続している点でもスタンスにブレがないことを示していると思われます。でも、もう廃刊されているんですよね。僕はプレミア価格を払ってこの本を入手しました。

著者はゴールドマンサックスを経て、ヘッジファンドを経営。ITバブル崩壊直前に手仕舞うことを提言したことで有名(?)とのこと。妻のカレンさんも元トレーダーで、この人の投資アドバイザーでもある。この本を書いた時にはすでに引退していたみたいですけどね。

まず株価とはM×E=P、つまりEPS(1株当たりの利益)×PER(株価収益率)=株価(P)であることを叩き込む。その公式を展開してPER=P/EPSの比較的低い、つまり伸び代のある銘柄を探すこと。ただし、負債の大きい会社はやめておけ。なぜなら、株主は債権者に劣後するから。

難しいのはPERが高い銘柄でも、さらに高くなることが多いという事実。だから、多面的に分析することが大事。この本で言いたい幹の部分はこんなところでしょうか。

とにかく、「バイアンドホームワーク(Buy and homework)」を主張しています。ホームワークとは買った後もカンファレンス・コール(4半期毎の決算報告電話会議)をモニターしたり、財務分析してその銘柄のヘルス・チェックをすることです。

テレビに出てくるアナリストの推奨銘柄や耳寄りの情報だけで買ってはいけない、買い注文は指値を使うことなど当たり前のことも記されています。

この著者の特徴的なのは常に市場のどこかで「上げ相場」があるから、その時に投げ売りされている「お勝手銘柄」など循環銘柄を買うセクター・ローテーション戦略を採用するのが好きという点です。

分散投資については異業種セクターで10銘柄程度が個人でせいぜい管理できる限界だろうというのが役に立ちました。やみくもに分散しても無駄だということです。

 

政策金利が上昇したら株式から債券にシフトするべしというのもなるほどと思います(債券市場はあまり馴染みがないだけに)。リスクの少ない国債を中心にクーポン・レートが上昇するからですね。ここはマルキール教授と主張が同じです。

 

インデックス・ファンドについてはやや否定的です。自分の頭で考えなくなるからでしょう。それでも、面白いのはファンドの規模が5億ドル以内の水準にある銘柄を選ぶべきという件。

あとは、マーケットの底を判断するにあたってVIX指数が40超となった3週目あたりという先行指標を用いた判断基準なんかも役立ちますね。最後は空売りとオプション取引について多くが割かれています。

コールオプション価格形成理論としてブラック−ショールズ式を大学時代に苦労して勉強しましたが、空売りをする場合とプットオプションを行使する場合の対比など非常にわかりやすい説明がされていました。

この本をバイブルにする個人投資家が非常に多いらしいのも頷ける。YouTubeで最近のジムを見ましたが、相変わらずエネルギッシュ。腕には黒いApple Watchが見えました。

でも、やっぱり損してでも株式投資が好きっていうひとじゃないとジム・クレイマー氏が説く実践は難しいかも。僕は投資以外にやりたいこと、やり残していることがたくさんあるので、インデックスファンドを 買い続けると思う。

実はこの点についてもアドバイスがあって、相場が大きく下がった時には買い入れを翌月に繰り越すことがコツだそうです(毎月購入している場合)。なるほど、大きく下がったら買い増そうと考えていたので、これは目から鱗。

この数週間で3冊読みましたが、どれも甲乙つけ難いほどの良書だと思います。1冊選べと言われれば、「ウォール街のランダム・ウォーカー」が比較的新しいので、オススメです。

米国人も日本人も投資教育は殆ど受けることなく大人になっていますので、なるべくホンモノの書籍で勉強する必要があります。そう思うと、大学での証券理論の講義は難解だったな…

子供たちにも学校では教えてくれない企業財務分析と投資教育については伝えていきたいなと思います。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。