セイコーダイバーズ『SKX007』は諜報員並みに優秀なのです
HODINKEEのアーカイヴからセイコーダイバーズ「SKX007」の話題をお届けします。
SKX007は1965年に150m防水のダイバーズウォッチとして発表されたRef.6217の流れを汲む時計で、直系は同じく200m防水のRef.7002となり、現在の形はすでに先代で完成されていたようですね。
そして、SKX007は1996年に規格化されたISO6425の要件を全て満たす歴とした本格的なダイバーズウォッチとしてデビューしました。ちなみにISO6425の要件とは次の11項目を指します。
- タイムプリセレクティング装置(事前に時間設定が可能な装置・逆回転防止ベゼル
- 視認性(暗所25cmの距離から目視で判読可能)
- 耐磁性(磁界4,800A/mに曝して日差30秒以内を維持)
- 耐衝撃性(3kgのハンマーで打撃を加え日差60秒以内を維持)
- 耐塩性(濃度3%の塩水中に24時間放置してサビや異常が生じない)
- 水中での信頼性(水深30cmで回転ベゼル等が正常に作動)
- 耐外力性(バンド引っ張り強度、リュウズの加圧耐性)
- 耐熱衝撃性(40℃と5℃の水中での温度変化への耐性)
- 耐浸漬性(水深30mに50時間浸漬後の風防内の曇り)
- 水中加圧(表示圧の1.25倍の圧力を水中で加圧)
- 耐ヘリウムガス性(飽和潜水時計、ヘリウム混合ガス加圧)
いかにも厳しそうですね。ちなみにブランパンが1953年に発表した「フィフティ・ファゾムズ」はこの要件に準拠した初めての時計です。
何よりも驚かされるのは、この時計がすでに生産完了してしまっているにも関わらず、海外逆輸入版が新品でAmazonで2万円程度で購入できるということです。これは2015年当時に記事を書いた Jack Forster氏の米国でも事情は同じようです。
機能的には、リューズが4時近辺に配置されていますが、手巻きによる巻き上げには対応していないキャリバー7S26が搭載されています。このムーブメントには評価の高いマジック・レバー巻き上げ装置があり、手首に乗せる僅かな動きで動力を蓄えるのが特徴です。
僕から見て素晴らしいと思うのはブレスレットがジュビリー風で美しいことですね。ウェットスーツ用のエクステンション機構を備えていないこと、若干のジャラジャラ感(jingle-jangle)を除けば、着け心地は良いとの評価です。
末尾が“007”とあるだけにスパイを連想させますが、これだけ優秀な諜報員(スパイ)がこれほど安価に取引されているということは、我が国の国家機密はダダ漏れだったりして…
買えるうちに買っておきましょう。
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