K.Iwahashiが語るラグジュアリー論







A.ランゲ&ゾーネ サクソニア・フラッハ 37mm

WRITER
 
A.ランゲ&ゾーネ  サクソニア・フラッハ 37mm
この記事を書いている人 - WRITER -
'79年生まれ。1浪2留の追加モラトリアムを経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融セクターのIT部門にて(マジメに)勤務。 時計や車などのラグジュアリー、服飾、DTM、それらにまつわる書籍の記事が得意です。

HODINKEEのアーカイブからA. Lange & Söhne(A.ランゲ&ゾーネ) Saxonia(サクソニア) Thin 37mmを紹介します。

Apple Watch Series4が日常の時計として定着しつつあるこの頃。機械式時計を身に着けるのは、今度こそ『特別な日』にしたいと考えていて、その特別な日に相応しい時計を追い求めています。

候補のひとつに一度手放してしまっROLEX Cellini 4233/9という2針の手巻き時計を検討しましたが、この時計は防滴性能のない、徹底した非防水時計なので、湿度の高い日本には向かないのです。

そんなクラシックな薄型2針で、実用性を兼ね備えた時計がドイツはA.ランゲ&ゾーネのサクソニア・フラッハです。

A.ランゲ&ゾーネの復活はベルリンの壁崩壊(1989年)後の東西ドイツ統一を象徴しています。1994年には『ランゲ1』、『カバレ』、『トゥールビヨン “Pour le Mérite”』、そして今回紹介する『サクソニア』の4モデルを発表しました。もちろんこの復活にはウォルター・ランゲ(1924-2017)という精神的支柱、リシュモングループの資本というキャストが不可欠ではありましたが、1983年にジャン・クロード・ビバー 氏が成し遂げたブランパンの復活をモデルにしていることは間違いなさそうです。

さて、”フラッハ(flach)”とはドイツ語で「浅い・薄い」を意味する単語です。その名のとおり、この時計のケースは実に5.9mmしかありません。ケースサイズの薄さを追求することは、技術力を要することです。この理はどの工業製品にも当てはまるのですが、かつての古典的文脈ではなく、現代的な要求水準で満たしたというのがこの時計の秀逸なところです。

そのひとつが、搭載する手巻きムーブメントL093.1のパワーリザーブが72時間もあること。手巻き機構というのは、一番不安定な力が加わりやすく、壊れやすい部分でもあるのです。したがって、一度巻き上げたら次のインターバールまで長ければ長い方が良いのです。3日間のパワーリザーブはそうした配慮があってのことだと思われます。

もちろん、日常生活防水なので、水をかぶってしまう程度であれば動作に問題ないようにパッキンが封入されています。ただし、ドイツ工業製品基準だからか、”n気圧防水”という表記はされていません。

特筆すべきはケース直径が37mmであることです。現行の時計のケースサイズの下限の多くが38mmであることを考えると、この時計のケースサイズは非常に珍しいと言えます。個人的には38mmはやや大きめな印象で、37mmこそ、クラシカルな時計の上限だと考えています。1mmの差は、この世界ではとても大きな違いなのです。

40mmのケースサイズが先行してリリースされ、2016年に本モデルがリリースされました。『サクソニア』シリーズは手巻き、自動巻、超薄型の3つの機構を揃えたシリーズとなっています。

ロジウムコーティングされた18K ホワイトゴールドのアプライドインデックスが配されるのはグレイン仕上げされたシルバーの文字盤。そこには剣のようなシェイプの2本の針が厳かに控えます。

6時位置には「SWISS MADE」ではない、「MADE IN GERMANY」の表記がラグジュアリーさより工業製品的な香りを漂わせています。
Cal.L093.1
しかし、裏面のサファイアクリタル越しにムーブメントを見ると、状況は一変します。淵の極限まで磨き込まれたジャーマンシルバー(洋銀)の地板。スワンネック型緩急針を支えるブリッジには美しいエングレービング(彫り込み)が誇らしげに掲げられています。。サンバースト模様の角穴車はまさにグラスヒュッテの様式美。この得体の知れない、危険を感じさせるほどの美しさは何でしょうか?

それは、このムーブメントが、まさに『アングロ・サクソン礼賛』を体現したような熱狂を以て作り込まれているからでしょう。そこが、この時計の魅力でもあり、異民族からみると「排他性」を感じさせる所でもあります。

日本人は大戦時の同盟関係の影響からかドイツ人に『根拠なき類似性』を感じるので、この時計の美しさというものをバイアスなしに審美することができるでしょうし、自らが身に着けることに躊躇はないかもしれません。しかし、ドイツ以外の愛国教育を受けたり、エスノセントリズムに染まった人はこの時計を含むA.ランゲ&ゾーネを嫌悪するかもしれません。

lange-saxonia-flach-on-wrist

しかし、こうした心情から無縁でいられる人にとって、この時計はまさに最高のパートナーとなるでしょう。2針で飽きが来てしまわないかという点については心配なさそうです。というのは、HODINKEEのStephen Pulvirent氏によると、この時計をA.ランゲ&ゾーネから貸与され、16日間以上を他の時計を一切身に着けずに過ごしたところ、愛着が湧くほどで、別れが辛かったとまで述懐しています。

そして、この時計はA.ランゲ&ゾーネのエントリーモデルという位置付けからか、このブランドの中では比較的手に入りやすい価格帯(アンダー200万円)です。

僕が次の時計にこのサクソニア・フラッハを手に入れる可能性はかなり高め。そのための布石を確実に打っていきたいものです。

基本情報
メーカー A. Lange & Söhne(A.ランゲ&ゾーネ)
モデル/型番 サクソニア・フラッハ 37.0mm /LS2013AM 201.027
縦×横×厚さ 直径37.0mm ×5.9mm
ケース素材 ホワイトゴールド
防水性能 日常生活防水
ブレスレット 手縫いのアリゲーターストラップ
価格/生産数 1,879,200円
ムーブメント情報
キャリバーNo. L093.1
巻上方式 手巻
振動数 21,600
石数 21
ビス留めゴールドシャトン 3
調速機構 ス ワ ン ネ ッ ク形バネと側面にある調整用ビスにより微調整可能なビートエラー補正装置付きフリースプラング
パワーリザーブ 72時間

この記事を書いている人 - WRITER -
'79年生まれ。1浪2留の追加モラトリアムを経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融セクターのIT部門にて(マジメに)勤務。 時計や車などのラグジュアリー、服飾、DTM、それらにまつわる書籍の記事が得意です。
スポンサーリンク














- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 鰯の飽くなき収集癖 , 2018 All Rights Reserved.