イエローゴールドケースにブルーの文字盤の妙技。オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク エクストラ・シン Ref.15202
HODINKEEの2017年のアーカイブからAUDEMARS PIGUET(オーデマ・ピゲ)ROYAL OAK(ロイヤルオーク)EXTRA THIN(エクストラ・シン)を紹介します。
ロイヤルオークは1971年に故・ジャラルド・ジェンタによってデザインされ、1972年にリリースされました。その名の由来は、17世紀にイングランドの国王チャールズ2世がオリバー・クロムウェル軍から身を隠した木に由来します。
あまりに有名な八角形のベゼルはロイヤルオークという英海軍船の船窓の形状から象ったものだということです。
初代ロイヤルオークに付されたリファレンスナンバーは5402。直径39mmに厚さ僅か7mmのステンレンスケースにグレーのタペストリーの文字盤を組み合わせたその時計は、ジャガールクルト製cal.920をベースとした、Cal.2121が搭載されていました。
面白いことにこのムーブメントは、同時期にリリースされたパテック・フィリップ『ノーチラス』、ヴァシュロン・コンスタンタン『オーバーシーズ』にも搭載されるなど、スイスの時計産業が当時から水平分業化されていたことを物語っています。
オーデマ・ピゲのジレンマは、この初代ロイヤルオークを超えるロイヤルオークを長らくリリースできなかったことにあります。とりわけ、2000年代の大型化の波に乗って、どんどん大型化していったのは残念でなりませんでした。
しかし、そのジレンマに終止符を打ったのが、2012年に登場したスチールとローズゴールドのケースを持つRef.15202です。直径39mmはオリジナルそのままに、厚さは8.1mmとやや増したのは、サファイアクリスタルのケースバックの所以。
マルチリンク構造のブレスレットは初代ロイヤルオークのブレスレット製造をアウトソースされたGay Frèresに同じです(この会社はロレックスのブレスレット製造も手掛け、その後同社に吸収されました)。
そして、2017年。ロイヤルオークにこそ相応しいイエローゴールドケースのRef.15202が5年の時を経て登場しました。
このロイヤルオークの絶妙なバランスの均衡は、ブルーの文字盤を配したことです。このことで、これ見よがしなゴールドとはならず(less ostentatious)、上品さに加え、知的な印象をも抱かせます。
ブルーの文字盤は、ローズゴールドには最適な選択とは言えず(グレーの方が似合う)、ステンレスケースには冷たすぎる印象を持つことから、この組み合わせこそベストマッチングです。Ref.15202を通じて2針であることも、非常に好印象ですね。
ケースバックから覗く自社製キャリバー2121は、このシンプルな時計に見合わないほどの超高級機。一例を挙げるとスイッチングロッカー式の複雑な自動巻上げ機構を搭載し、ロータのレールを支えるためのルビーベアリングまで備える徹底ぶり。
もちろん、この時計を手にいれるには(日本国内定価は税抜505万円)必要ですが、それ以上にこの時計に選ばれる必要がありそうです。
基本情報 | |
メーカー | Audemars Piguet(オーデマ ピゲ) |
モデル/型番 | ロイヤルオーク・エクストラシン / 15202BA.OO.1240BA.01 |
縦×横×厚さ | 直径39mm ×8.1mm |
ケース素材 | イエローゴールド |
防水性能 | 5気圧 |
ブレスレット | イエローゴールド |
価格/生産数 | 55,400$ |
ムーブメント情報 | |
キャリバーNo. | Cal.2121 |
巻上方式 | 自動巻 |
振動数 | 19,800 |
石数 | 36 |
調速機構 | フリースプラング |
パワーリザーブ | 40時間 |
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