K.Iwahashiが語るラグジュアリー論







ヴィンテージロレックスとオイスターブレスのマニアックな話

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ヴィンテージロレックスとオイスターブレスのマニアックな話
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'79年生まれ。1浪2留の追加モラトリアムを経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融セクターのIT部門にて(マジメに)勤務。 時計や車などのラグジュアリー、服飾、DTM、それらにまつわる書籍の記事が得意です。

HODINKEEのアーカイヴから2017年に誕生から70周年を迎えたオイスターブレスのマニアックな歴史話を紹介します。

ロレックスの歴史に関してはブレスレットとエンドリンク(ブレスレットとケースを隙間なく埋めるためのリンク)がオイスターケースと同じくらい重要な役割を担ってきました。

オイスターブレスレットは実用時計であるサブマリーナ(SUB MARINER)とGMTマスターと美しいまでに融合しています。腕に巻くと、装着感に優れ、シンプルなクラスプは完璧に動作します。最新のオイスターブレスレットを見ると、僕らはそれが天才エンジニアによる閃きの賜物と勘違いしそうですが、実は目に見ないほどの弛まぬ小さな改善の積み重ねであることを知らなければなりません。

ブレスレットひとつをとって、ロレックスの企業文化というものが垣間見えるのです。それはすなわち、

細部こそが重要だという自負

なのです。

ロレックス オイスターブレスレットの歴史は十風満帆ではありませんでした。ロレックスの最初の時計のブレスレットは同社が製造したものでも、決まった仕様がなかったのです。

1930年代初頭、ブレスレットは非常に高価であり、時に時計本体の半分を占めるほどでした。後にロレックス専用のブレスレットを製造したのは、ゲイフレアー(Gay Frères)で、後にオーデマ・ピゲの初代ロイヤルオークのブレスレットの製造を手がけます。

当時供給されたのは、細い竹のようなリンクのブレスレット「Bonklip(ボンクリップ)」別名バンブーブレスレットでした。

ゲイフレアー(Gay Frères)がロレックスに1998年に吸収されたのは、同社の生産効率の高さを評価したからだと言われています。それくらい当時はブレスレット専業メーカーが多く存在したのです。

オイスターブレスレットのプロトタイプが特許を取得したのは1947年2月。そして、製品化されたのは1948年です。その3年前の1945年にジュビリーブレスレットが登場していますので、オイスターブレスレットはロレックス初の専用ブレスレットというわけではないようですね。

エンドリンクはバネ棒への負荷を軽減する機能がある

当初オイスターブレスレットはバブルバックと呼ばれるケースやクロノグラフ向けに供給され、1952年にはケースとブレスレットを隙間なく埋めるためのエンドリンクが仕様に追加されたこと以外はほぼ10年間姿を変えることなくカタログに掲載されました。

このエンドリンクが果たす役割は意外にも馬鹿にできず、バネ棒にかかる負荷を分散することでバネ棒の故障(ひいては本体の落下による故障)を防止したのでした。

エンドリンクが搭載された最初の時計は1954年発表のGMTマスターRef.6542です。有名なジュビリーブレスレットが搭載されたのは10年後のRef.1675になってからでした。

エンドリンクも当初は中が空洞だったのですが、はSea-Dweller(シードウェラー)で無垢材となり、現在では全てのモデルにおいて無垢材から削られたエンドピースが取り付けられています。

1950年代初頭からは改良が顕著になります。それまでのオイスターブレスレットは「リベットブレスレット」と呼ばれるように、中が空洞のリンクを繋ぎ止めるためのリベット(鋲)がリンクのサイドに見て取れました。次に登場したのは「フォールドリングブレスレット」と呼ばれるもので、一枚のステンレス板を何重にも折りたたむことで、空洞を無くし(実質的に無垢にする)、耐久力を向上させたものでした。最終形は現在のような無垢材からの切り出しによるものに変更されました。

ブレスレットに対する病的なまでのこだわりは審美的な動機によるものではありません。ブレスレットの耐久性はそのまま落下による破損に直結するからこそ、病的なまでにこだわっているのです。その弊害(?)ではありませんが、しばしばビンテージロレックスを正規サービスセンターに持ち込むと、ブレスレットを含む現行の部品に強制的に交換させられてしまい、ビンテージファンがガッカリするということが起こります。

オイスターブレスレットは現在年間100万本製造されていると目されていますが、エンドリンクにはリファレンスナンバーが刻印されていて、世代だけではなく、エンドリンクのサイズを表しています。

また関税の関係から流通する国によって現地製造する国もあったようです。アメリカ合衆国やメキシコがそうですね。クラスプに「C&I」と刻印されているそうです。

最後に忘れてはならないのはクラスプの進化です。2本の湾曲したブレードを重ねることで留めるのは容易かつ効率的ではありましたが、衝撃などによって予期せぬ解除を余儀なくされることもありました。そこで、留め金をロックする機構とクラスプ内部にリンクを延長する機能がサブマリーナとシードゥエラーに1969年に搭載されました。現在のサブマリーナのブレスレット(Ref.93250)はさらに進化していて、リンク延長がリンク単位ではなく、微妙なスライドによって調整できるGlidelock(グライドロック)によって可能となっています。僕自身Ref.114300を所有して、この機能に惚れ込んだうちの1人です。

いわゆる企画レベルの開発ではないロレックスのブレスレットに向ける献身と進化ぶりは、時にビンテージモデル愛好者という好事家を生むと揶揄する人もいるが、その努力の結果は文字盤の「Perpetual」の記載通り、実用時計としてよりよい時計を作り続ける今日のロレックスを見れば明らかである。

いかがでしたしょうか?ロレックスを楽しむ人はブレスレットの作りの良さも実感してもらえると嬉しいです。

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'79年生まれ。1浪2留の追加モラトリアムを経て'05年に早稲田大学商学部卒業。 現在は金融セクターのIT部門にて(マジメに)勤務。 時計や車などのラグジュアリー、服飾、DTM、それらにまつわる書籍の記事が得意です。
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